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日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 早稲田大学は大学院商学研究科ビジネス専攻と大学院ファイナンス研究科を統合して「大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)」を開設、記念シンポジウム「日本企業の10年戦略」を開いた。シンポでは「日本のビジネススクールが目指すべきこと」と題して、米ハーバード・ビジネススクールの日本リサーチセンター長、佐藤信雄氏と早大ビジネススクールの根来龍之教授が対談した。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

根来 このセッションでは世界で最も評価の高いビジネススクールの筆頭とされている米ハーバード・ビジネススクール(HBS)と比較しながら、日本のビジネススクール、さらには早大ビジネススクールの課題やあるべき姿について議論する。まずは、HBSの概要説明をお願いしたい。

■世界を変えるリーダーを養成する

佐藤 1908年の創立だが、最初は独立した大学院ではなく、大学内の下部組織だった。独立したのは1925年。建学の精神は、ビジネスピープルに役立つことを教える。学問的な研究はするが、学ぶ人にとってのビジネスに役立たないといけない。そこで、教授法として現在では有名な「ケースメソッド」というものを取り入れた。

 また、ミッションがあり、これは非常に重要だ。「We Educate Leaders Who Make a Difference in the World.」というもので、「世界を変えるリーダーを養成する」という意味だ。

 学生は毎年900人ぐらい入ってくる。教員はフルタイムが231人だが、実際には250人以上いる。スタッフは約1500人もいる。だから、教員は管理業務的なことは一切やらない。ここが日本の大学とは大きく異なる点だろう。教員は研究と教育に専念できる体制がある。研究のための予算も学校が全部出す。教員が個人で資金を確保する必要はない。

■授業料は年間6万1000ドル

 MBA(経営学修士)コースの概要だが、2年間のフルタイムで入学競争率は約10倍。授業料は非常に高く、年間6万1000ドル。生活費も入れると、2年間で約20万ドルかかる。費用対効果が大きな課題だが、そこは評価されているようだ。

 重要なことは、65%の学生が奨学金を得ていること。これは、返済義務のないスカラシップとローンを組み合わせた数字。入試では、学生の経済力は一切考慮せずに優秀な学生を集める。合格してから学生のニーズを聞き、必要ならばその学生の過去の給与水準や金融資産などを参考に、奨学金の額を決める。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 教育プログラムで重要な点は、1年目はすべて必修科目ということ。必須科目は11科目ある。1年目から選択科目を導入しているスクールも多いが、HBSはすべて必修。リーダーには、まず、幅広い知識がなくてはならないという考えがある。

 日本人の留学生は残念ながら多くない。現在の1年生はやや増えて13人だが、1学年で20人まで持っていきたい。20人というのは、ピーク時、おそらく1991年ごろの数字だ。中国の学生は約50人、インドの学生は約80人いるだろう。私がいた30年以上前は、インドの学生はおそらく数人、大陸中国からの学生はゼロだった。

根来 早大ビジネススクール(WBS)は1973年創設。日本で一番歴史のある慶応義塾大学ビジネススクール(KBS)とそう変わらないが、大学院になった時期がとても遅くて1998年。今年4月から、やっと組織体としてはKBSと同じ構造になる。ただ、既にWBSは日本で最も大きくて強い学校になっていると自負している。しかし、残念ながらアジアでは違う。

■「実践知」を重視する早大ビジネススクール

 ミッションはHBSと似ているが、重要なのは「actionable management knowledge」。これは「実学」ではなく、「実践知」を意味する。実学には実務にすぐ使えるというニュアンスがある。一方、実践知というのは、抽象的な理論でもいいが、実務にヒントを与える抽象性でなくてはいけないという考え方だ。もう一つはリーダーの養成だ。

 学生の規模は1学年300人。HBSの3分1だ。米ビジネススクールのトップ10では一番規模が小さいカリフォルニア大バークリー校よりは大きい。ただ、教員数はHBSの5分の1。学生が3分の1で、教員が5分の1ということは、WBSの方が学生1人あたりの教員数が少ないということだ。かつ、これは日本全体の問題だが、ほとんどが終身雇用。さらに、スタッフが圧倒的に少ない。10人しかいない。教員がいろいろと事務的なことをやらざるを得ないのが、日本のビジネススクールの宿命だ。

 WBSが日本最大の人数を誇っている理由は、プログラムの多さ。開講時間は昼も夜もあるし、使用言語は英語も日本語もある。KBSの生徒は100人だが、2年制とエグゼクティブMBAのみ。HBSは900人だが2年制のみ。留学生比率はWBS25%、HBS30%でそう変わらない。授業料はHBSの3分の1。この差は大きい。続いてHBSの収入構造について説明してもらう。

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