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やり直し英語勉強法

会話の9割をカバー 知られざる「基礎単語」2000語――日向清人(1)

 急速にグローバル化の進む会社の職場。外国人ビジネスマンの姿も日増しに増えている。しかし、多くのビジネスパーソンにとって大きな壁となっているのがやはりビジネス英語だろう。本当に使える実践的な英語を学び直す必要に迫られている。日経Bizアカデミーの人気連載「やりなおし英語勉強法」を再公開します。

 はじめまして、日向(ひなた)清人と申します。慶應義塾大学(東京・港)でビジネス英語の授業を持つ傍ら、ビジネス英語の本をいろいろと書いております。これから5回に分けて、あいさつなどの定型的な雑談 (socializing)、電話、会議、交渉、プレゼンテーション、そしてライティングの勘どころを案内いたします。英語は3歳の時から話しているので、どういうものかはわかっていますが、大学生のころには、ライティングの成績が悪くてケンブリッジ英検 (Certificate of Proficiency in English)に落第し、大いに反省しました。標準的に求められるのはどういう英語かをじっくり研究した経験があり、皆さんの役に立つことをお伝えできるかと思います。

◇   ◇   ◇

★基礎単語

 ビジネス英語は「基礎英語」の上に乗っているという発想に立って、自分は学校での英語の成績が悪くて基礎英語には自信がないけれど、専門用語などビジネス英語特有の部分を押さえているので何とかなっていると考える方が結構いらっしゃいます。しかし、ビジネス英語と基礎英語の関係は真ん中が基礎英語で、周縁がビジネス英語という格好の同心円と捉えるべきで、基礎英語が弱いとビジネス英語も国際水準に届かず、ビジネスに響きます。

 実際、新聞もある程度読めるのに会話に自信がないという人は、基礎単語の力が弱いのが普通です。そもそも近隣諸国と比べて、わが国の教科書自体が基礎単語を繰り返し学ばせる仕組みになっていないうえ、高校から急に難しい「非日常的な」単語が増えるためで、語彙水準が4000近いような人(TOEICの問題文をすらすら読めるレベルの人)でも、あとで取り上げる「GSL単語」の中、400ぐらいがすっぽり抜け落ちているという報告があるぐらいです。

定評あるリストの2000語習得を

 ここで言う基礎単語とは、書店で並んでいる基本単語集が扱う類いでなく、General Service List (GSL)として知られているリストにまとまっている、およそ2000の単語のことです。戦前の話ですが、このGSLは当時の英語教育の権威たちがカーネギー財団やロックフェラー財団の後援の下で30年かけてまとめました。1953年の刊行ながら、現代の英語の専門家が激賞するような、定評のある単語リストです。

 なぜかわが国ではあまり聞かないリストですが、実証研究により話し言葉の9割、書き言葉の8割がこれでまかなわれていることがわかっています。少なくともGSL単語については、聞いたときにわかり、自分でも言え、書くことができ、さらにmake a decisionのような定型的な組み合わせまでわかっていないと、いくら難しい単語や言い回しを覚えても、実用的な英語を習得したとは言い難いでしょう。

 どういう単語がGSL単語とされているかを知りたい方は、こちらにリストがあります。また、狩野みきさんとの共著『知られざる基本英単語のルール』(DHC)は、会話例と解説を読むことでGSL単語を網羅できるようになっています。

 基礎単語を侮ってはいけません。リスト上の単語にはhindrance, motherhood, complication, nuisance, briberyといったものがあり、正答率8割以上を合格ラインにして大学1年生のクラスで試したところ、92%が不合格だったという実証研究があるぐらいです。

定型的会話の一歩先を

★あいさつなどの定型的会話

 基礎単語の話を最初にしたのは、あいさつなどの定型的会話において大きなウェイトを占めるからです。英米の出版社が出しているビジネス英会話のシリーズものを見ると、おもしろいことに、どのシリーズでも、socializingつまり、雑談による人間関係の構築がひとつの重要なスキルとして取り上げられています。

 このことが意味するのは、日本人ならずとも、ビジネス英会話を勉強した人は、一度は、socializingの教科書が取り上げる How was your flight?(フライト、いかがでしたか?)といった定型的なやりとりを練習して、覚えているということです。したがって、日本人の方でもひと通り、この種の言い回しを知っておき、使えるようにしておかないと、こうした勉強を経て来た外国人に負けてしまいます。

 問題は、定型的言い回しを使ったやり取りの先です。どこそこの何がおいしいといった平凡なやり取りを自分の言葉で話さなければならず、地味な単語をそのパターンに即してきちんと使えるかが問われます。knowという単語を考えた場合、択一で「知る」に○をつけられる程度では、あまり役に立たないということです。know that + フルセンテンス、know about~、 know how to do ~という具合に、固有のパターンに即して言いたいことを作れないと間に合いません。一方、この程度できれば、話せてよかったと学習の成果をかみしめられます。それがここで繰り返し強調してきた基礎単語力です。

[この記事は2011年10月13日の日経Bizアカデミーに掲載したものです]

「やりなおし英語勉強法」は原則火曜日掲載です。

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日向清人(ひなた・きよと)
慶應義塾大学大学院修了。証券会社などを経て、現在、同大学外国語教育研究センター所員、同大学法学部非常勤講師。ケンブリッジ大学英語検定試験委員。NHKラジオ「ビジネス英会話」の講師を務めたほか、ビジネス英語に関する著書も多い。

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