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最強のロジカルシンキング

あなたの話が一気にわかりやすくなる「魔法の接続詞」(堀 公俊)

第27回 「ところが」 前後のつながりを大切にする

カードを使って楽しく学ぼう!

 7カ月にわたり、ロジカルシンキングをお手軽に実践するための26個のフレーズを紹介してきました。言葉づかいを身につければ、あなたの論理思考力はおのずと高まります。何事も習慣にしてしまえば、いちいち考えなくて済みます。

 ある読者の方から「何かよい練習はありませんか?」というコメントをいただきました。もちろん、あります。それも、ワイワイと楽しく練習できる、とっておきの方法が。

 福元和人氏が開発した「カタルタ」というカードゲームがあります。読んで字のごとく、「語る」ために開発された「カルタ」です。

 54枚のカードには、違ったワンフレーズが書かれています。「つまり」「たとえば」といった本稿で紹介したフレーズに加え、「しかしながら」「ところで」などの接続詞、さらには「実は」「偶然にも」といったドキッとさせる言葉まで。

 それを1枚ずつめくりながら、ストーリーを語っていくのです。自己紹介、ブレーンストーミング、プレゼンテーション、振り返りなど、多彩な使い方ができ、一人でも大人数でも遊べます。

 予想もしない言葉が書かれたカードを引くと一瞬頭が真っ白になります。ところが、いったんそのフレーズを口にして話し出せば、どこかでひらめきが生まれ、何とか話がつながるものです。結果的に、思考力と瞬発力を鍛えるのに大いに役立ちます。

接続詞の使い分けがカギになる

 長い物語をスムーズにつなげるには、接続詞の使い方がポイントとなります。

 接続詞とは、語と語、節と節、文と文、すなわち論理のつながり具合を示す言葉です。日本語にはたくさんの接続詞があり、一部はすでに紹介しました。

 ロジックが長くなると、どこかでいったん文章を切って接続詞でつながざるをえなくなります。逆に言えば、巧みに接続詞を使うことで、長いロジックも追いかけやすくなります。そんなわけで、今回は、今まで紹介しなかったものを含め、接続詞についてまとめて解説していきます。

 日本語の接続詞は大きく分けると6種類あります。

 <順接> だから、それで、ゆえに、そこで、すると、したがって、よって……
 <逆接> が、だが、しかし、けれど、けれども、だけど、ところが、とはいえ、それでも……
 <付加> そして、それから、また、しかも、その上、さらに、なお、かつ、および……
 <説明> つまり、すなわち、なぜなら、たとえば、ただし、ちなみに、要するに、いわば……
 <対比> または、あるいは、それとも、そのかわり、むしろ、ないしは、いっぽう、もしくは……
 <転換> さて、ところで、では、それでは、次に、ときに、それはさておき……

 個々の使い方は今さら説明するまでもありません。ここでは、いくつかの失敗例を元にして、ロジックを分かりやすくするための、組み合わせのポイントを紹介していきます。

ジェットコースターに乗せないために

 よくある失敗の一つが、肯定的な話と否定的な話が交互に現れ、筋が追いづらくなることです。次の用例を見れば一目瞭然です。

【NG】 ○○はAという点で優れている。しかし、Bというデメリットもある。ところが、Cという点では他に負けない。とはいえ、Dという懸念も考えなければいけない。だが……

 なぜこうなってしまうかといえば、頭で考えたそのままの順番で、話したり文章にしたりするからです。私は、他人の原稿をチェックする機会が多いのですが、普段はロジカルな人も含め、かなりの頻度でこの手のものに遭遇します。上げたり下げたり、まるでジェットコースターに乗っている気分にさせられます。

 肯定なら肯定、否定なら否定を、順説や付加の接続詞を使ってまとめてしまい、逆接の接続詞は連続して使わないように。ひっくり返すときは、一発でドーンと決めたほうが、前後のつながりが分かりやすくなります。

【OK】 ○○はAという点で優れている。しかも、Cと言う点では他に負けない。ところが、○○にはBというデメリットがある。さらに、Dという懸念も考えなければいけない。

ダラダラと独り言を続けない

 次に多いのが、付加や対比の接続詞が連続して、ダラダラと話が続いてしまう失敗です。まるで独り言につき合わされている気分になります。

【NG】 ○○にはAが欠かせない。さらに、Bも忘れてはいけない。あるいは、Cも必要なときがある。一方、最近ではDが見逃せなくなってきている。その上……

 これについては、すでに対処法を第12回で述べました。最初に全体像を示してから、個々の説明に入るようします。1つ目、2つ目と数字を使うのも効果的です。

【OK】 ○○に必要なものが4つある。まずは、Aが欠かせない。次にBを忘れてはいけない。さらに、Cが必要なときがある。最後に、Dが見逃せない。

 これは論理をつなげるときも同じです。ダラダラとつなげず最初に結論を打ち出してから、理由は因果関係を説明するようにします。

【NG】 AならばBである。さらに、BならばCとなる。すると、CならばDとなる。だから、AならばDなのだ。
【OK】 つまり、AならばDなのである。なぜなら、AならばBであり、さらにBならばCとなり、するとCならばDとなるからである。

発散と収束のメリハリをつける

 長い話には、論理を先に進めたり、仮説や選択肢を検討したり、どちらかといえば考えを広げていく「発散」の部分があります。その反対が、展開した論理を結論に落ち着かせたり、広げた話を畳んでいったりする「収束」の部分です。

 あまり発散の部分が長く続くと、「こんなに風呂敷を広げて大丈夫?」と不安になります。ある程度話を広げたら、一度畳む。またそこから話を広げて、また畳んでいく。そうやって、発散と収束のリズムをつくると、考えた当人も説明されるほうも安心できます。

 発散から収束へ、収束から発散へ、話を転換する接続詞を入れるタイミングが重要となります。

【NG】 Aという考えがある。さらに、Bとも考えられる。ところが、Cという意見も根強い。むしろ、Dが本命なのかもしれない。しかも……
【OK】 Aという考えがある。さらに、Bとも考えられる。ところが、Cという意見も根強い。むしろ、Dが本筋なのかもしれない。では、いったい、どれが正解なのだろうか?

 他にもたくさんあるのですが、あまりやり過ぎると論説文の書き方の授業になるので、このあたりでやめておきます。

 残念ながらこれらは癖のようなもので、大なり小なり誰にでもあります。ある程度長いプレゼンやスピーチをやるか、やはり長い文章を書くしか鍛える方法はありません。長いロジックを分かりやすく表せてこそ、ロジカルシンキングをマスターしたと言えます。

最強のロジカルシンキング」は毎週木曜更新です。次回は11月10日の予定です。

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あなたの話が一気にわかりやすくなる「魔法の接続詞」(堀 公俊)

堀 公俊(ほり・きみとし)
日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 著書に『ファシリテーション・ベーシックス』(日本経済新聞出版社)、『問題解決フレームワーク大全』(日本経済新聞出版社)、『チーム・ファシリテーション』(朝日新聞出版)など多数。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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