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いま求められる6つの上司力

タイムマネジメント力(1)疲弊する上司と部下、業務を効率化する3つの秘訣(西村克己)

終了時点のアウトプットリストがムダ働きを最小化する

 残業制限、過重労働の禁止。しかし仕事は増える一方です。一つひとつの仕事を効率化しないと、いくら時間があっても足りません。部下や自分のムダ働き、的外れの努力を何とか減らせないか、という人はいませんか。部下の仕事は穴だらけ、やり残しが多く、追加の指示の毎日に疲れている人はいませんか。どこまでやればこの仕事は完了するのか。上司は指示にストレスがたまり、部下は終了のめどが立たない追加作業に嫌気がさす――そんな職場も少なくないでしょう。

1.部下の報告はいつもアウトプット不足

 1つの仕事を完了するまでに、アウトプット不足が何度か判明して、追加作業による納期管理に悩んでいる人はいませんか。上司から見れば非効率なやり方を部下たちはしています。「あれも足りない、これも足りない、早く追加で作成しろ」と部下に指示しなければいけないのもストレスがたまります。なぜ1回で完成度が高い資料が出てこないのでしょうか。

 部下たちから見れば、追加作業が増えすぎてやる気が出ない。早くこの仕事を終了したいけれど、上司は追加作業を次々と要請して、いつまでたっても満足してくれないのです。このままだと、残業増加や納期遅れが発生してしまいます。

 追加作業が発生する一方で、以前に大量の情報収集をしたものの、使わない情報が山積みになっていたりします。どうしたら部下はムダなく業務を達成できるのでしょうか。

2.がんばりの量よりもアウトプットの量を増やす

(作成=西村克己) (作成=西村克己)

 仕事のパフォーマンスはどのように計算できるのでしょうか。分母がインプット、分子がアウトプットです。

 同じアウトプットの量であれば、分母のインプットが少ない方が、パフォーマンスが高くなります。同じインプットの量であれば、分子のアウトプットが大きい方が、パフォーマンスが高くなります。

 アウトプットの代表例としては、企画書(提案書)、報告書の作成は、アウトプットです。文書化されて形になった書類はアウトプットです。商品開発の設計図を作成したとか、業務改善やトラブルなどの問題解決を完了することもアウトプットです。何らかの成果を識別できる文書や形にしたものはアウトプットです。

 本を書く仕事では、文章や図解になってはじめてアウトプットです。ゲラ原稿1ページ相当の分量を書くのに何時間かけても、1ページは1ページです。本1冊分のページ数を書かなければ出版できません。仕掛かり中のアイデアや図解の下書きは、あくまで仮のアウトプットで、正式なアウトプットではありません。

 1日の仕事の中で、本当にアウトプットを生み出しているのは、何パーセントくらいでしょうか。もしかしたら、アウトプットにつながった時間は、半分以下かもしれません。

 たとえば、会議に3時間参加したとします。その会議で何分くらい発言したでしょうか。またその会議の結論を得るために、どれくらいの貢献をしたでしょうか。

 連絡会議で情報収集しかしていないかもしれません。書面で配布されれば5分で理解できたのに、同じ内容を1時間以上かけて会議で説明しているのはアウトプットではありません。またアイデアを出すべき会議なのに、ほとんど発言していないで座っていただけの人もいるでしょう。アウトプットにつながらない時間の代表です。

 また机に座って忙しく仕事をしていたけれど、雑務ばかり。気がつけば、アウトプットとして形になった仕事はごくわずかかもしれません。

3.計画段階でアウトプットリストを作成する

(作成=西村克己) (作成=西村克己)

 限られた時間でアウトプットの量を増やすにはどうすればよいでしょうか。その秘訣は3つあります。

 1つめは、アウトプットにつながらない時間を減らすこと。2つめは、求められていない不要なアウトプットを作成しないことです。3つめは、やり残しによる追加作業を減らすために、計画段階で、完了段階に必要不可欠なアウトプットをすべて把握しておくことです。

 この3つの問題を解決する方法が1つだけあります。それは、計画段階で「アウトプットリスト」を作成することです。アウトプットリストとは、アウトプットの箇条書きです。「このアウトプットがすべて作成できると、この仕事は完了する」というリストを作成するのです。

 計画段階でアウトプットリストを文書で作成すると、完了時点で必要なアウトプットを可視化できます。必要なアウトプットが何かわかれば、実行段階で追加のアウトプットが増えるのを最小限に抑えることができます。終了間際の追加作業をなくせるのです。

 リスト作成のコツは、「○○書」「サンプル」「試作品」という基準でアウトプットを考えること。また、それぞれのアウトプットの分量がわかる数値を付記します。たとえば、「マーケティングの調査報告書(15ページ)」「家電の試作品(3台)」というように、かっこ書きで数値を付記します。作業量や必要経費の見積もりにも役立ちます。

 あらかじめ分量がわかれば、やりすぎのムダ(過剰品質のムダ)を防ぐこともできます。たとえば、「調査報告書(15ページ)」であれば、調査に何週間もかける必要がないと気づきます。必要最低限の調査で済ませるという方針が確認できます。

 チームで仕事をするときは、特にアウトプットリストの分量がわかる数値は重要です。またアウトプット別に役割分担をどうするかも計画段階で確認できます。

 仕事の中で最もムダ働きをしている要因は、「何をアウトプットしていいかわからない」「役割分担がわからない」という点にあります。また「どれだけ深く検討すればいいかわからない」ために、自分の得意分野は徹底的に時間をかけて、過剰品質で時間をロスします。自分の不得意分野は適当にやるので、上司からみれば検討不十分になってとして追加作業にのなるのです。

 上司としても、アウトプットリストを計画段階で作成させてみてはいかがでしょうか。上司が部下に目的を与えます。部下はアウトプットリストのたたき台を作成します。そして上司と部下の相談時間を確保して、完了時点で必要なアウトプットリストの確定版の合意を得るのです。実行は任せるとして、中間報告、完了報告で完成度を確認するのも効率的です。

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