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最強のチームビルディング

ワンフレーズでできる「最強のチームビルディング」(堀 公俊)

第1回 言葉を変えれば、組織は変わる!

あなたのチームはうまくいっていますか?

 本稿をお読みの方々は、課、部、事業部、会社といったチームに所属して、仕事や活動をされている人が大半だとお見受けします。いきなりですが、皆さんのチームはうまくいっていますか。

 「万事良好!」という方もいれば、「それが、最近ちょっと……」という方もいらっしゃるでしょう。中には「もはや、とてもチームと呼べるような状況ではない」という残念な方も。では、一体どこでそれを判断されているのでしょうか。

 チームメンバー全員が誇りと生きがいをもってイキイキと働かないと成果に結びつきません。

 だからといって、成果が出ていても、チームがうまくいっているとは限りません。ブラック企業がやっているように、チームに滅私奉公させても、短期的には成果が出るからです。楽しいだけの仲良しクラブは困りものですが、結果だけでチームの良しあしを判断するのは危険です。

 そもそも、チームとは共通の目的を持った集団です。「チームの目的がどれほどメンバーに浸透しているか?」は、チームの状況を判断する大きな材料となります。

 ところが、目的を理解していても、その達成に貢献しようという意欲がなければ、チームがうまく機能しているとは言い難いです。目的が形骸化してしまっては、チームとは言えません。

 だとすれば、「このチームの目的は何ですか?」「あなたは、どれほどチームのために頑張ろうと思っていますか?」をメンバーに尋ねて回れば、チームの状態はおおむね把握することができます。

 加えて、あと一つ大切なことがあります。メンバー同士のコミュニケーションがとれているかどうかです。チームの関係性がよくないと、せっかくの目的意識も貢献意欲も空回りしてしまい、チームの力が発揮できなくなります。

あなたの上司・部下・同僚はどう答える?

 そこで、簡単なクイズをやってみましょう。皆さんが所属されているチームを思い浮かべてみてください。次のような状況になったときに、あなたの上司・部下・同僚はどのように答えるでしょうか。普段のやりとりから想像してみてください。

 (1)Aさんは、業務の時間をやりくりして、新しいビジネスの企画書をまとめ上げました。ツメが甘いのは分かっているものの、どうしても思いをぶつけたくて、部長のところに企画書を持っていきました。読み終えた部長は、開口一番どんな言葉を口にするでしょうか?

 (2)上司から突然呼び出されたBさん。何か説教でもされるのかと思ったら、「普段の私のマネジメントについて、忌憚(きたん)のない意見を聞かせてほしい」「上司への要望があればズバリ指摘してくれ」と言われました。日ごろの不満を述べたいのですが、どのように口火を切りますか?

 (3)仕事を終えて帰ろうとしたCさん。隣のデスクの同僚から「悪いけど、少し手伝ってもらえないかな?」と応援を頼まれてしまいました。同僚が仕事を抱えて困っているのは分かっているのですが、こちらにも事情があります。さて、どのように言って依頼を断りますか?

答え方で関係性が透けて見える

 特に正解があるわけではなく、実際の状況や人間関係によって答えは変わってきます。とはいえ、うまくいっているチームとそうでないチームでは、答え方が変わってきます。リアクションの取り方を見れば、おのずと判断はつきます。たとえば、こんな感じです。

 (1)イマイチの企画書を読み終えた上司の第一声
 NG <ハイハイ、読んだぞ> <それで?> <一言いいか?> <なんでこれを私に?>
 OK <ありがとう> <君らしいな> <頑張ったな> <大変だったね> <勉強になったよ>

 (2)上司へのフィードバックの口火の切り方
 NG <あなたは……> <みんなが言うには……> <普通の上司は……>
 OK <実は……> <今私が感じているのは……> <私の経験を述べると……>

 (3)同僚からの仕事の応援依頼の断り方
 NG <無理!> <なんで私が?> <他の人に頼んだら> <オイオイ、勘弁してくれよ>
 OK <今日は難しいなあ> <ゴメン、その代わりに……> <かえって迷惑にならない?>

 それぞれのフレーズがNGやOKの理由は、この連載の中でおいおい紹介していくことにします。ここでは雰囲気の違いをつかんでいたければ十分です。OKのほうが健全な関係性にあると。

協調的なコミュニケーションを目指そう

 コミュニケーションは1人ではできません。「社会生活を営む人間の間に行われる知覚・感情・思考の伝達」(広辞苑)だからです。人間の“間”ですから、2人以上の人がいないと成り立ちません。

 それも一方通行では、伝達したかどうか分からず、コミュニケーションになりません。一往復してはじめてコミュニケーションが成立します。

 片方が言葉や態度で何かを語る。それに対して、相手が同じく言葉や態度で返す。語り方によって返し方が変わり、返し方によって次の語り方が変わってきます。そんな2者以上の間での「相互作用」がコミュニケーションの本質となります。その様が両者の関係性を表しています。

 実際、活気ある職場では、互いによく声を掛け合い、テンポよく会話が弾みます。関係性とは相互作用に他ならないのです。

 冒頭の話に戻ると、うまくいっているチームとは、相互作用が十分に発揮されているチームです。それは、「協調的なコミュニケーションが働いているかどうか?」で判断ができます。

 相互作用がよい方向に働けば、チームの結束がさらに高まります。そうなると、ますます協調的なコミュニケーションが増えてきます。そうやって、良い循環をつくっていくことがチームづくりに欠かせません。そのためのポイントを紹介するのが、本稿「最強のチームビルディング」です。

「話さないでも分かる」は通用しない

 皆さんは、日本的なチームワークと欧米流のチームビルディングの違いをご存じでしょうか。

 前者は、「話さないでも分かる」同質性の高い人々の間でのチームづくりでした。飲み会、社内運動会、社員寮がチームづくりの三種の神器と言われ、共に同じ時間を過ごす中で自然とでき上がるものとされてきました。「以心伝心」「あうんの呼吸」が理想の姿です。

 それに対して、「話さないと分からない」異質性の高い人々の間のチームづくりをするのがチームビルディングです。メンバー同士、前提となる思考様式や価値観が違うので、何かしないとバラバラになってしまいます。自然熟成を待っていてもらちがあかず、意図的、能動的、積極的にチームをビルド(build)、すなわち建てたりや組み立てたりする必要があります。

 言うまでもなく、今のチームに必要なのは後者です。非正規、転職者、異性、若者、外国人といった多様なメンバーで、仕事をこなさないといけなくなってきたからです。加えて、多数の専門家を集めたプロジェクトで仕事をすることも増えてきました。

 チームビルディングの一般的な方法は、体験学習のワークショップを使った2泊3日程度の集中的なトレーニングです。とはいえ、そんなぜいたくな時間が取れるところはまれ。かといって、ハイテンションの朝礼や始業前の全員清掃は勘弁してほしい。だったら、日常のコミュニケーションの中でやるしかありません。特に、若い世代の扱いに困っている人は、ここから始めてみましょう。

 「わざとらしい」「照れくさい」「面倒だ」なんて言っていないで、自分の思考や感情をしっかりと相手に伝えていくことがポイント。そのための、とっておきのフレーズを、背景となる組織行動学の解説を添えながら、一つずつ紹介していきたいと思います。乞うご期待!

◇   ◇   ◇

ワンフレーズでできる「最強のチームビルディング」(堀 公俊)

堀 公俊(ほり・きみとし)
日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)、『チーム・ファシリテーション』(朝日新聞出版)など多数。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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