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ダメ会議撲滅で変える働き方

グダグダ会議の退治法 このツッコミが重要です!(堀 公俊)

第2回 延々と続くグダグダの会議、どうやったら退治できる?

■働き方を改革するはずの会議が…

 「もう夜の8時か……。いったい、いつになったら、この会議は終わるんだろうか?」

就業時間も終わった頃、「ちょっといいかな?」と課長から声を掛けられ、5人の主任が会議室に集められました。「働き方改革について相談したい」というのです。

 いきなり資料が配られ、全社の取り組みの説明がありました。「みんなの率直な意見をぜひ聞かせてほしい」と言われたものの、資料に目を落としたまま誰も何も言おうとしません。

 仕方なく「山田君、何かないかな?」「田中君、どう?」と順番に指名されます。急に問われても当たり障りのない意見しか出てきません。結局、課長のお気に入りの主任だけが積極的に意見を述べ、課長と2人で盛り上がっています。

 しかも、労働時間が長い原因を探したかと思えば、思いつきの解決アイデアが飛び出す。働き方改革そのものへの疑問もあれば、「この間のプレミアムフライデーにね……」といった脱線もしばしば。ダラダラと会議が続けられ、いつ終わるのか全く見えません。

 こうなってしまう最大の原因は、プロセス(進め方)を決めずに、コンテンツ(中身)に入ってしまったことにあります。段取りが分からないので、何をどこまで意見を出してよいかも分かりません。議論が始まっても、チグハグになって収拾がつかなくなります。

 いきなりテーマに入ろうとした時は、プロセスを先に決めることを促すようしましょう。

「議論に入る前に、きょうの進め方を教えてもらえませんか?」

■ゴールを決めないから終わらない

 中でも大切なのはゴール(目標)の共有です。

 ゴールとは、みんなが目指す到達点を意味します。「今日、何を決めるのか?」「何をどれくらいつめるのか?」「どんなアウトプット(成果)を出さないといけないのか?」です。言い方を変えれば、「何が達成できたら会議が終えられるのか?」がゴールに他なりません。

 ゴールがあいまいなまま話し合いがスタートしそうなら、さりげなく尋ねてみましょう。

「すみません。きょうのゴールをもう一度確認させてもらっていいですか?」

 先ほどの話でいえば、働き方改革はテーマであってゴールではありません。働き方改革の「問題を共有する」「目標・方針を決める」「具体策を合意する」といったものがゴールとなります。しかも、できるだけ具体的に決めたほうがチームの力を引き出すのに役立ちます。

「きょうのゴールの具体策は、いくつくらい決まればいいのですか?」

 もう一つ忘れていけないのは、時間のゴールです。目指す到達点に、「いつまでに着くつもりなのか?」です。

「7時までに、働き方改革の具体的な取り組みを3つ合意できれはよいのですね?」

 そうすれば、「締め切り効果」が現れ、議論への集中度が高まってきます。結果的に、時間内に目標に達成できるようになります。

 ■合意することを合意する大切さ

 終わりのない会議でよくあるもう一つのパターンは、議論が行き詰まって出口が見えず、ダラダラと時間を延長してしまう、というものです。決め手となるようなアイデアが出なかったり、意見が真っ向から対立して、折り合う点が見つからなかったりして。

そうなりそうな予感がある時こそ、ゴールを決めて、事前に釘を指しておきましょう。何があっても、時間内に「合意することを合意しておく」のです。

「5時までに、必ず合意するよう約束しませんか? そのため、ベストな案でなくても、ベターな案を一つ選ぶようにすると」

 とはいえ、議論に夢中になるとゴールや終了時間を忘れがちになります。必ずホワイトボードなどに書いておくようにしましょう。これだけでゴールを達成する意識が高まります。

 その上で、予定のペースで議事が進んでいるか、要所要所でチェックしないといけません。ファシリテーターがタイムキープできていないようなら、懸念を述べるようにしましょう。

「まだ○○の話ですよね。このペースで、本当に8時までに終わるんでしょうか?」

■少々の無理はいいけど無茶はダメ

 それでも会議が終わらないとしたら、そもそも終わる会議になっていないからです。

ゴールは与えられたミッションとリソース(時間、メンバー、知識)を見極め、適切に設定しなければいけません。楽勝(コンフォートゾーン)のゴールでは資源の無駄遣いになります。頑張ればやり遂げられる程度(ストレッチゾーン)が望ましく、どうやっても達成できないレベル(デンジャラスゾーン)ではチームが持ちません。

 よくあるのは、検討する議題が多すぎて(大きすぎて)、とても時間内ではこなしきれなくなっている、というケースです。できもしないことに力を注ぐことほど、ムダなことはありません。

 議題の数が多すぎるのなら、全員で議論すべきテーマに絞り込み、さまつなものは決裁者を任せるべきです。議題が大きすぎるなら、ワーキンググループをつくって検討させるという手があります。

やり方次第で終わらない会議をなくすことはできます。まずは、賛同者が現れることを信じて、疑問を呈するところから始めてみましょう。

「今ここでこれだけの議題を片づけるなんて、そもそも無茶じゃありませんか?」

◇   ◇   ◇

堀 公俊(ほり・きみとし)
グダグダ会議の退治法 このツッコミが重要です!(堀 公俊)
 日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 
グダグダ会議の退治法 このツッコミが重要です!(堀 公俊)
著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)など多数。最新刊は『会議を変えるワンフレーズ』(朝日新聞出版=写真)。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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