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ダメ会議撲滅で変える働き方

やる気に水を差す「D言葉」、頻発する人のかわし方(堀 公俊)

第8回 リフレーミングで発想・視点を切り替える

■この言葉が出たら要注意!

 「でも、△△なんてできっこないだろ?」

 「だって、○○がないからできないんだよ」

 「どうせ、いくらやっても無理だよ……」

 これらを「D言葉」と呼びます。「でも」と言って消極的になる。「だって」で言い訳をする。「どうせ」で自分を卑下(ディスカウント)する。皆さんも、つい使ったりしませんか。

 いずれも、ネガティブな姿勢を表し、やる気に水を差す言葉です。これが会議で蔓延し出すと、何かを変えようとしたり、新たな挑戦を求めたりが難しくなります。

 一見できないと思えることをできるようにしてこそ、熾烈な競争を勝ち抜いていけます。そのために、わざわざ会議室に集まって知恵を絞っているわけです。

 少しくらい愚痴につき合うのは結構ですが、どこかでポジティブな話に切り替えないといけません。たとえば、こんな具合に。

「できない話ばかりするよりも、今私たちにできることを考えませんか?」
「○○がないからできないと言うのは、○○があったらできるということですよね?

■不足を嘆くより増やすことを考える

 よくあるのは、「時間がない」「お金がない」「人が足らない」「権限がない」「知識がない」というものです。資源(リソース)不足を言い訳にして、実現を諦めているケースです。

 そんな時は、資源を増やす手段を考えるのが近道です。あらたに使える資源がないか、探す算段をするのもよい方法です。

「どうやったら資源が増えるかを考えませんか?」

 たとえば、時間を増やすには、仕事の優先順位を見直したり、効率化したりすればできるはず。外注を使えば、時間をお金で買えます。

 お金がないのなら、頑張りと工夫で埋め合わせをするしかありません。どうやったらお金が捻出できるか、算段をするのも一つの方法です。

 権限がないのなら、権限をもらえるように努力するか、権限がある人をうまく使えばよい話。自分の権限の範囲で、精一杯できることを考えるのも一つの方法です。

 やるだけの知識がないなら、知識を得る手段を考えるしかありません。「今のやり方を変える必要はない」と言われたら、改善の効用を説くようにしましょう。

「違うやり方をしたら、もっとよい結果が出るのではないでしょうか?」

■リフレーミングで発想を切り替える

 人には、必ず物事を考える枠組み(フレーム)があります。たとえば、コップに半分の水が入っているのを見て、「もう半分しかない」と考えるのか、「まだ半分もある」と考えるのか。使うフレームによって、意味づけが変わってきます。

 ネガティブに考えても仕方がない時は、ポジティブなフレームに切り替えるしかありません。これを「リフレーミング」と呼びます。チームがネガティブなムードになった時は、リフレーミングを使って、新たな視点で考えるように促しましょう。

「無理だというのですね。でも、無理かどうかは、やってみないと分からないんじゃないですか?」

 「過去と他人は変えられない」という言葉があります。他人、過去、運、運命、事実などは、今さら変えようがありません。たとえば、「社長に決断力がない」「相場が予想外に動いた」と語り合っても、事は前に進みません。

 私たちが変えられるのは、自分、未来、選択、対応、認知です。

 「どうやったら、社長の決断を支援できる?」「どうやったら、相場の変動に機敏に対処できるか?」です。答えの出ない論点を、答の出る論点に変えれば、問題解決への道筋が見えてきます。

「変えられないことを議論しても仕方なく、変えられることを話し合いませんか?」

■WhyではなくHowを考える

 意見が対立している時も同じです。

 つい「なぜ、相手の意見が受け入れられないか?」を訴えがちになります。「○○でないから反対だ」「○○という懸念があるので無理」といった具合に。相手の意見のマイナス面を言い立てて、やっつけようとするのです。当然、相手も同じ戦法を取り、非難の応酬となります。

 ところが、本来考えるべきことは、「どうやったら合意できるか?」「どこで折り合いをつけるか?」です。ここでも、ネガティブな発言をリフレーミングして、合意に向けてのポイントを明らかにしていきましょう。

「言い換えると、○○の条件が満たされれば、賛成してもよい、ということですね?」

 こんなふうに、私たちはともすれば、「なぜ、うまくいかないのか?」に目が行きがちになります。失敗や反対の理由ばかりを言い立て、やらずにすませようとしてしまいます。

 視点を切り替え、「どうやったらうまくいくのか?」を考えれば、できることがいくらでもあります。WhyからHowにリフレーミングすれば、解決に向けての新たな道筋が見えてきます。議論が行きづまった時に試してみてください。

「できない理由は分かりました。どんなことなら、私たちにできるでしょうかでしょうか?」

◇   ◇   ◇

堀 公俊(ほり・きみとし)
やる気に水を差す「D言葉」、頻発する人のかわし方(堀 公俊)
日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 
やる気に水を差す「D言葉」、頻発する人のかわし方(堀 公俊)
著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)など多数。最新刊は『会議を変えるワンフレーズ』(朝日新聞出版=写真)。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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