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フレームワークで働き方改革!

「貧乏暇なし」ドトウの毎日 抜け出す方法教えます(堀 公俊)

第1回 仕事の効率を高める「重要度・緊急度マトリクス」

■働き方改革を考える会議のはずが…

 「忙しいところ悪いけど、お願いできないかな?」。上司にそう言われ、全社挙げての「働き方改革」プロジェクトのメンバーに抜擢されました。毎週、半日程度の会議があり、全社の取り組みの答申案を半年で取りまとめないといけません。
 きょうはそのキックオフ会議の日です。事前にドッサリと会議資料が配られており、人事部長も参席して意気込みを語るそうです。あなただったら、どんな気持ちでこの会議に臨むでしょうか。

 おそらく「任せてくれ」「現場の期待に応えなければ」と期待に胸をふるわせている人は少数。大抵は、「忙しいのに勘弁してよ」「なんで貧乏くじを引いてしまったんだ」「そんなの、人事のほうで適当にやってよ」ではないかと思います。

 そのため、会議が始まっても、パソコンを開いてメールを処理したり、電話をかけに一時退席したりする人が続出。ほとんどのメンバーは心ここにあらずで、残してきた仕事のことが気になって仕方がない。そんな状態になるのではないでしょうか。

 こんな様子だと、行く末は見えています。カタチだけの改革案ができあがり、実践は現場に丸投げして、めでたくプロジェクトはお役御免に。

 現場では、「やったふり」「やっているつもり」が横行するに違いありません。まさにアリバイづくりのプロジェクトといわざるをえません。

■その仕事は重要か? 緊急なのか?

 なぜこうなってしまうのでしょうか。「7つの習慣」で有名なスティーブン・R・コヴィーが提唱した「重要度・緊急度マトリクス」(時間管理マトリクス)で分析してみましょう。

 ホワイトボードか大きな紙を用意して、縦軸に「重要度(大)-重要度(小)」、横軸を緊急度(大)-緊急度(小)」を取り、2軸のマトリクスをつくります。そこに、普段やっている仕事を書き出していきます。各軸に絶対的な尺度はなく、どこに置くかは相対比較で決めるので構いません。

 4つの象限の中で最も価値があるのが、危機への対応やトップからの指示など、重要度も緊急度も高い仕事です。反面、ストレスがかかるため、あまりに多いと燃え尽きてしまいます。

 次に来るのが、業務改善やスキルアップなどの、重要度が高くて緊急度が低い仕事です。眼先の仕事に追われて後回しになりがちですが、将来への投資や備えとなる大事な仕事です。

 一方、メールの処理や資料作成など、重要度が低くて緊急度の高い仕事は、あくせくするわりには成果が乏しいものばかり。減らしていかないと貧乏暇なしになってしまいます。

 同じく、重要度も緊急度も低い、暇つぶしのような仕事は、やるだけムダ。今すぐになくすべきでしょう。

■自転車操業から抜け出すには?

 では、「働き方改革」はどこに位置づけられる仕事でしょうか。

 もうお分かりのように、2番目に挙げた、重要度が高くて緊急度が低い仕事です。成果が出るには時間がかかりますが、成功すれば大きなリターンが得られます。

他の仕事の緊急度を下げることにつながり、みんなが重要度を優先して仕事ができるようになります。そこを疎かにしたのでは、まさに本末転倒です。

 私たちはどうしても、重要度よりも緊急度を優先しがちになります。そんなことをしているから、ペダルを必死にこがないと倒れてしまう自転車のようになるのです。

 重要なものに集中する。これこそが、働き方改革の基本的な考え方の一つです。それができていなからこそ、労働時間が長くなり、業務の生産性が高まらないのです。重要度・緊急度マトリクスを使って、仕事の棚卸しをしてみることをお勧めします。

「貧乏暇なし」ドトウの毎日 抜け出す方法教えます(堀 公俊)

■フレームワークを駆使して働き方を変える

 本連載では、拙著『ビジネス・フレームワーク』(日本経済新聞出版社)の中から、特に働き方改革に役立つものを紹介していきます。「働き方改革と言われても、何をしてよいか分からない」「どのように進めていけばよいか知りたい」という方にもってこいの内容です。

 フレームワークとは、ものごとを考える上での枠組みを表したものです。経営学者や経営コンサルタントが、ビジネスを考える上での思考ツールとして考案したものです。

すべての問題をゼロから考えていたのでは、時間がいくらあっても足りません。「こう考えれば分かりやすい」という定石を知っていれば大きな助けになります。フレームワークがあることで、個人や集団の思考が加速され、スピーディーな問題解決や意思決定ができます。

 しかも、フレームワークは、必要な視点を漏らさず、網羅的に検討できるようにつくられています。問題に当てはめて考えるだけで、合理的な答えが見つかりやすくなります。

 加えて、フレームワークはロジカルに構成されたものであり、言語や文化を問いません。ビジネスの共通言語として、世界中の誰とでも同じ土俵で話し合うことができるのです。

 今、日本は、国を挙げて「働き方改革」という名の大きなチャレンジをしようとしています。皆さんの職場でも、本稿で紹介するフレームワークをフルに活用して、輝かしい未来への第一歩を踏み出しましょう。

◇   ◇   ◇

堀 公俊(ほり・きみとし)
「貧乏暇なし」ドトウの毎日 抜け出す方法教えます(堀 公俊)
 日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)、『会議を変えるワンフレーズ』(朝日新聞出版)など多数。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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