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フレームワークで働き方改革!

苦し紛れの言い訳と空約束 不毛な営業会議ヤメる方法(堀 公俊)

第2回 仕事を見える化する「プロセスマップ」

■担当者が順番に血祭りに上げられる

 「なぜ、できないんだ!」「一体、どうするつもりだ!」
 会議でよく耳にする発言です。典型的なのが、営業の担当者が順番に当月の進捗報告をしていく場です。少しでも目標に届かないと、このように上司から詰め寄られます。
 こう言われると、誰しも苦し紛れに言い訳をしたくなります。「何とかします」「次は必ずやり遂げます」と空手形を切って、逃れようとします。皆さんもそんな経験はないでしょうか。

 もちろん仕事ですから、キッチリ成果を出さないといけません。目標に届いているかどうかをチェックすることは重要です。

 しかしながら、成果とはすべて終わった話です。今月の成果をいくら責めても、もはや変えようがありません。過去と他人は変えられませんから。

 それよりも検討すべきは、「どんなやり方でそうなったか?」「もっとよいやり方はないのか?」です。

 同じやり方から違う結果はできません。気合いと根性に頼るよりも、仕事のやり方を変えることで、今月の負けを取り返す可能性が高まります。

 業務のプロセスを明らかにして、改善すべきポイントを見つけ、効果的な手を打っていく。その積み重ねの上にしか、成果を着実に上げる方法はありません。

■見えないものはコントロールできない

 働き方を変えるために、私たちが最初にやらないといけないことは何でしょうか。

答えはズバリ、働き方の「見える化」です。見えないものはコントロールできず、変えようがないからです。

 たとえば、長時間労働が問題となっているのなら、労働時間の実態をグラフや表を使って見える化するところからすべては始まります。女性活用が進んでいないなら、女性の雇用比率や管理職比率の推移を見える化しないと議論にもなりません。

 生産性の向上についても同じです。まずは、今やっている業務プロセスを見える化して、どこに問題があるか、どこに目をつければよいか、着眼点を探さなければいけません。

 そのために用いるのが「プロセスマップ」です。業務の流れを見える化する、働き方改革にはなくてはならないツールです。

苦し紛れの言い訳と空約束 不毛な営業会議ヤメる方法(堀 公俊)

■レバレッジとなるポイントを探す

 たとえば、商品開発の進め方について見直しをかけるとします。この業務に関わる人を全員集めて、プロセスマップを使って見える化をしていきます。

 まずは一人ひとりが、自分がやっている業務を付箋などに書き出し、大きな図に貼りつけていきます。そこから、仕事の手順に沿って並べ替えます。細かいところにこだわらず、まずは大まかな流れをつくっていきましょう。

 一通りできたら、一つひとつの業務のIPOを明らかにしていきます。インプット(入力:Input)、プロセス(処理:Process)、アウトプット(出力:Output)の3つです(プロセスを支援する触媒:Catalystを加える場合もあります)。

 これらがそろわないと、業務プロセスを明らかになったことになりません。あいまいなところは、ハッキリさせていく必要があります。

 見える化ができたら、次に改善点を考えていきます。本当にこれでよいのか、どこかに問題や無駄がないか、もっと効率的なプロセスはできないかを議論していきます。

 一つひとつの業務はつながっているので、弱いところがあると、他がいくら頑張っても思うような成果は上がりません。どこをどう変えていけばよいか、できるだけ効果的なレバレッジ(てこ)となる改善ポイントを探してしていきます。

■裏プロセスとブラックボックスを洗い出す

 プロセスマップをやっていると、「本当は○○することになっているんだけど、実際には……」「いつもは○○なんだけど、急ぎの場合は……」といった話がよく出てきます。程度の差はあれ、どんな仕事にも表に出てこない非公式なプロセスがあります。

 それがひどくなったのが、1999年に茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー」(JCO)東海事業所で死者2人を出した臨界事故です。正規のマニュアルを無視して、「裏マニュアル」に沿って危険な作業を平気でしていたのです。

 こういった表に出ない仕事のやり方を浮き彫りにするのも、プロセスマップの目的の一つです。タテマエではなく本当の業務を洗い出すようにしなければいけません。

 仕事の属人化にも要注意です。特定の人しかできず、何をどうやっているのかが分からず、ブラックボックスになっている仕事です。

 一見効率的に見えますが、標準化や改善が進まず、品質や人事上の問題を引き起こす恐れもあります。そういうところこそ、実態を明らかにして、プロセスマップに反映する必要があります。

 すでに分かっているプロセスを整理するのも大切ですが、見えないものを、見えるようにすることこそ、本当の見える化です。形だけの見える化にならないように注意しましょう。

◇   ◇   ◇

堀 公俊(ほり・きみとし)
苦し紛れの言い訳と空約束 不毛な営業会議ヤメる方法(堀 公俊)
 日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)、『会議を変えるワンフレーズ』(朝日新聞出版)など多数。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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