評価者研修の目的とは?正しく評価できていない事例や評価者育成に大切なことを紹介

2024.3.12
日経ビジネススクール

人事評価は、社員のモチベーション向上や能力や経験に合わせた適材適所の配置に欠かせません。しかし、評価者による主観やバイアスが過度に入り込むと、周囲の目には適切に評価されていないと映る可能性があります。

 

評価者研修は異なるバックグラウンドを持つ評価者に、客観的で公正な評価を意識づける契起となります。また、評価者自身が客観的で公正な視点の獲得を通じ、成長につながるきっかけともなります。

 

本記事では評価者の評価が不適切な事例を、評価者育成に大切なポイントとあわせて解説します。人事評価に悩んでいる担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

 

日経では、企業の課題に応じてカスタマイズした研修をご提案しています。経営戦略と連動した教育体系の見直し・構築から、教育施策の立案・実行まで、経験豊富なコンサルタントが一気通貫で伴走支援いたしますので、お気軽にご相談ください。

研修の全ラインナップがわかるガイドブックはこちら 

評価者研修とは

ビジネスにおける評価者とは、社員の成果や能力を評価する役割を担う人で、主に、管理職やチームリーダー、主任などの役職に就く社員が挙げられます。評価者研修とは、評価者の役割を担う社員の評価スキルの平準化を目指し、公平で客観的な評価を励行するのに不可欠な研修です。評価者研修では、評価制度や評価方法、評価基準などに対する理解を深め、評価に必須の基本的な知識とスキルを身につけます。

 

評価者研修の具体的な目的や重要性は、以下で詳しく説明します。

  • 評価者研修の目的
  • 評価者研修の重要性

評価者研修の前に、その目的と重要性をしっかりと理解しておきましょう。

評価者研修の目的

評価者研修は、ビジネス上で異なるバックグラウンドを持ち、個人的にも考え方や好き嫌いが異なる評価者の評価能力を平準化し、より公正で納得感のある評価を一貫させるのが目的です。具体的には、以下の4つを目的に掲げられます。

  • 正しい評価手法を身につける
  • 評価制度の運用への理解
  • 成長につながるフィードバック
  • 社員との円滑なコミュニケーション力

評価者研修では、評価者としての役割や責任、評価基準の設定方法、評価結果のフィードバック方法などを学び、正しい評価手法を身につけます。自社で設定されている評価制度の背景や何を重視しているかなども、評価者に理解してもらうことが大切なポイントです。また、誰から見ても公平な人事評価をするには、被評価者である社員と積極的にコミュニケーションを図ることも必要になります。評価者のコミュニケーション力の向上も大切なポイントです。

 

上記4つの目的を常に意識することで評価者として最低限のスキルを身につけ、公平で効果的な評価の基盤をつくります。

評価者研修を行う重要性

評価者研修の重要性は、主に以下の3つです。

  • 公正で納得感のある評価を実現できる
  • 人材育成につながる
  • 評価制度を円滑に運用できる

評価者研修を受けることで、評価者は客観的で公正な評価に必要なスキルが身につきます。人事評価とフィードバックを適時、適切に行えば、評価結果の納得感が高まり、社員のモチベーションは高まり、エンゲージメントの強化も期待できます。

 

フィードバックが適切に行われれば、評価された社員はその内容を業務に生かし、自ずとスキルアップや成長にもつながるでしょう。評価は社員の能力に見合った配置転換につながります。一人ひとりの生産性向上や企業の業績アップが期待できます。

 

また、評価制度を効果的に運用するには、評価者の理解と協力が不可欠です。評価者研修を受けることで、評価者は評価制度の目的や種類、評価方法などを初めて理解します。評価制度の円滑な運用に欠かせません。

人事評価が正しくできていない事例

不適切な人事評価のケースとして、どのようなことが考えられるでしょうか。ここでは、人事評価が不適切な事例を5つ紹介します。

【人事評価が不適切な事例】

  • 厳しすぎる・寛容すぎるケース
  • 無難・極端なケース
  • 結果を先に決めてしまっているケース
  • 印象に引きずられてしまうケース
  • 人と比較して評価してしまうケース

不適切な評価が横行すれば、従業員の不満やモチベーションの低下、人材流出などにつながりかねません。以下のケースをチェックして少しでも当てはまる場合は、評価者研修を早急に実施する必要があるといえるでしょう。人事評価制度を見直す必要も出てくるかもしれません。担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

厳しすぎる・寛容すぎるケース

厳しすぎるケースはこれまでの個人のレコードにおいて高い実績を上げてきた実力者に多く見られる傾向です。評価者の評価基準が過度に厳しく、被評価者の能力や実績が正当に評価されません。厳しすぎる評価をする評価者には、「自己評価が高い」「自身のレベルを基準として他人を厳しく評価する」といった特徴があります。

 

寛容すぎるケースでは評価者としての自身の欠如や事無かれ主義の組織運営に偏して「部下からよく思われたい」「反発されたくない」などと考えてしまうあまり、被評価者の能力や成果に見合わない過大評価がつけられがちです。寛容すぎる評価の背景には、「周囲の目を気にする」「他者に優しい」「部下となれあう」などの特徴があります。

無難・極端なケース

無難なケースでは、被評価者の評価が偏らないように無難な評価をつけてしまいます。たとえば、5段階評価が採用されている場合、評価が「3」に偏ったり「5・1」などの評価だけをつけたりするなどのケースです。無難な評価をする評価者は、「人間関係に過度に配慮している」「反発されたくない」などの考えを持っているのが特徴です。

 

極端なケースでは、無難なケースとは真逆で評価が中心に偏らないように、評価差を極端につけてしまう傾向があります。たとえば、5段階評価の「5・1」ばかりの評価をつけてしまうケースです。極端な評価をする評価者は、そもそも人事に関心がなく、適当に場当たり的に評価を付けている傾向が見られます。

結果を先に決めてしまっているケース

結果を先に決めてしまっているケースでは、業務遂行までのプロセスや成果を上げるまでの努力を顧みていません。具体的には、評価の先にある「昇給・昇進・ボーナス」などの基準だけで決めつけてしまいます。能力や成果を上げるまでの過程に対する評価は後付けされているだけで、明確な評価基準がないケースがほとんどです。

 

成果主義の意識が強い場合や定量的な評価基準を用いていない評価者に多く、評価の公平性が欠けてしまい、被評価者からの不満や反発の声が上がりやすくなります。

印象にひきずられてしまうケース

印象にひきずられてしまうケースでは、被評価者の性格や立ち振る舞い、身だしなみなど、実際の成果や能力に関係ない部分で評価をしてしまいます。

 

心理学では「ハロー効果」と呼ばれ、被評価者の第一印象や、特定の強く印象に残った出来事だけに注目していると陥りがちです。たとえば、「明るい性格の社員」は積極性があると評価され、「学歴が高い社員」は仕事ができると評価されるケースなどです。

 

日頃から評価者と被評価者とのコミュニケーションが不足している場合や、現場の様子を見ていない状態では、印象に引きずられてしまいやすいといえます。

人と比較して評価してしまうケース

人と比較してしまうケースでは、評価者自身や部署内の特定の人物を基準として、そのほかの部下が評価されています。具体的には、「仕事のスピードが早い社員」を評価基準にすると、「仕事は早くないが丁寧に取り組む社員」は、「仕事が遅い」と評価されかねません。

 

人と評価してしまう評価者には、自分の能力に自信があるタイプか評価基準が明確になっていない場合が挙げられます。人と比較するケースの場合、毎回の評価にばらつきがでてしまいやすくなります。

評価者の育成に大切なこと

評価者研修で評価担当者を育成する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

【評価者研修で評価者を育成するポイント】

  • 座学だけでなく実践をする
  • 目指すべき人物像を明確にする
  • 評価者の傾向に合わせたプログラムを組む
  • 外部研修を活用する

評価者研修は、評価担当者が公平かつ客観的に評価をする基礎を身につける大切な機会となります。評価者研修を設計・実施する際には、以下で紹介するポイントを参考にしてみてください。

座学だけでなく実践をする

評価者研修では、座学だけでなく実践も重要です。評価者研修では、評価の基本的な考え方や評価基準などを学ぶ座学が中心となります。しかし、実際に評価をする際には、評価基準や評価方法をどのように適用すればよいのかがイメージしにくいという問題が生じます。また、評価エラーを起こす原因となる、評価者の主観やバイアスのコントロールも困難です。

 

そのため、ロールプレイングや模擬評価などの実践を通じ、人事評価で起きやすい評価エラーや評価者自身の癖を知る機会を設けることが重要です。また、実践の場では研修の受講者同士で意見交換やフィードバックにより、評価方法の分析や改善にも役立ちます。

評価者の傾向に合わせたプログラムを組む

評価者研修では、評価者個人の評価スキルに合わせた研修や教育プログラムを組むことが重要です。たとえば、評価者のスキルや経験が十分でない場合は、評価スキルを向上させる研修や教育プログラムの実施が効果的です。また、評価者一人ひとりが起こしやすい評価エラーの傾向やバイアス分析して、改善トレーニングやロールプレイングなどを行う研修プログラムを設計するのもよいでしょう。

 

評価者一人ひとりに最適化されていない研修プログラムでは、個人の主観やバイアスに気づけず、人事評価における根本的な問題解決にはつながりません。評価担当者の傾向やスキルに合わせた適切なプログラムを組むことで評価エラーを減らし、評価者のスキルの向上を実現できるでしょう。

外部研修を活用する

外部研修とは、さまざまな研修プログラムを提供している外部企業や団体などの第三者に委託して行う研修のことです。外部研修では社内の研修と異なり、外部の専門家による講義や実習を受けられるのが特徴です。外部研修を活用するメリットは、以下の3つです

  • 社内に蓄積されていないノウハウやナレッジを学べる
  • 社内の研修では得られない、客観的な視点を獲得できる
  • 評価者研修に特化したプログラムが用意されている

社内で評価者研修を行う場合、公正でない人事評価制度が慣例化されている場合があり、評価の偏りやバイアスを是正できない恐れがあります。一方で外部研修では、外部専門家の客観的な視点で現状の評価体制を分析・改善できます。

 

また、社内で評価者研修を一から計画・実施するとなると手間や時間がかかるでしょう。しかし、外部研修に委託すれば、手間を省いて専門的なノウハウを吸収できます。社内で研修を行うよりも多くのメリットが得られるため、評価者研修では外部研修を活用するのが効果的です。

 

評価スキルの向上は、人事評価の公平性と信頼性を高めるために欠かせません。しかし、社内の研修では公正な人事評価スキルや、客観的な視点を養うことが難しいと悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。

 

日経ビジネススクールでは、評価者研修に特化したプログラムを提供しています。貴社の状況や評価者のスキルに合わせた研修を学べるため、評価者の評価スキルを効果的に向上させられます。

 

評価者研修の実施を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせください。

まとめ

評価者研修は、評価担当者が公平かつ客観的な評価を行うための知識やスキルを身につける機会となります。評価者研修を実施する際は、評価者一人ひとりのスキルや経験などに合わせたプログラムを組み、座学だけでなく実践も取り入れることがポイントです。評価者研修の内容を適切に設計することで、評価者の主観やバイアスの分析と改善ができ、評価スキルが向上しやすくなります。この記事を参考に、効果的な評価者研修を実施しましょう。

 

評価者研修を実施する際は、外部研修を活用すると効率的に評価者を育成できます。日経ビジネススクールでは、評価者に必要な評価スキルや客観的な視点の養成に役立つ独自の研修プログラムを提供しています。現状の人事評価制度にお悩みの担当者の方は、ぜひ一度日経ビジネススクールまでお問い合わせください。

人材開発も、日経。

人的資本開示や人材育成・研修導入に関するお悩み、日経の経験豊富なコンサルタントへお気軽にご相談ください。

本記事に関連するサービス