■西粟倉村や四万十町に先進事例
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――2014年に地方創生担当に就任されて以来、全国各地の取り組みを見てきたと思います。地域創生の有力な担い手となるパブリックベンチャーは育ってきていますか。
「最も知られているのは、岡山県西粟倉村で林業六次化を推進してきた牧大介氏の取り組みでしょう。川上(間伐材の効率的な切り出し)から製材所の整備、最終製品の製造を進めた結果、村の林業関連の年間売り上げを1億円から8億円を超えるまでに伸ばしました。現在はさらに地域の付加価値を高め、BtoC市場へ村全体で進出していくために株式会社組織でエーゼロを設立し、地域のメディアのプロデュースやうなぎ・なまずなどの養殖事業なども手掛けています。テレビの経済情報番組でも取り上げられました」
「ほかにも宮崎県日南市には、『油津応援団』というパブリックベンチャーがあります。シャッター街となっていた商店街の再生という課題に取り組みました。4年で20店舗の新規開業という明確な重要業績評価指標(KPI)を立て、民間で資金調達を進め、魅力的なエリアの整備と店舗誘致を推進、見事にその目標をクリアしました。高知県四万十町を拠点とする『四万十ドラマ』という地域商社もこうしたパブリックベンチャーのひとつです。活動歴はすでに20年以上。四万十川流域の資源を活用した商品開発および販売促進に取り組み、独自の商品開発コンセプトを掲げて次々とヒット商品をプロデュースしています。地元に道の駅も経営し、そこを商品開発・テストマーケティング拠点にもしながら、都市部への販路拡大も仕掛けています」
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――エリア共通の利益のために、稼ぐ部分を担うのがパブリックベンチャーへの期待値だと思いますが、これまでの組織ではなぜだめなのでしょうか?