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日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

■MBAコースは赤字

佐藤 全収入合計では700億円以上になっているが、内訳がとても重要だ。MBAコースからの収入は全体の3分の1以下しかない。一番多いのは出版部門。HBSが作成しているケースを世界中で販売しており、昨年は1322万部売れた。ケース作成には莫大な時間とコストをかけており、販売でそれを回収するのが目的だ。それから雑誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」。あとは書籍。それ以外には、企業向けにオンラインのプロダクトを提供している。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 出版に次ぐ収入の柱が、エグゼクティブエデュケーションと呼ばれる企業幹部向けの教育プログラムだ。受講者数は年間約1万人。プログラムの数は80本ぐらいあり、長いものは8週間だが、大多数が数日の短いプログラム。

 MBAコースは実は赤字で、それを他で補っている。なぜ赤字なのに続けるのかというと、ブランドをつくることが目的。修了生の寄付でもある程度補填できている。

根来 出版収入が多いのはHBS独特の構造だが、他の米国のトップ校でも、ノンディグリー(学位非授与)のエグゼクティブエデュケーションからの収入が多いことは、HBSと同様だ。寄付も大きい。MBAコースをちゃんとやるとどこでも赤字になるだろう。それを他で補うのが世界のビジネススクールの基本的収支構造だ。

 では、WBSはどうか。学費収入がHBSの10分の1。補助金が1億円。ノンディグリー教育の収入は約2億円。KBS慶応とほぼ同じだが、HBSと比べると80分の1だ。ノンディグリー教育からの収入が全然足りない。ここを増やさないと、MBAコースの質も上げられない。つまり、学生1人あたりの教員数を増やせない。よって、ノンディグリー教育からの収入を伸ばすというのが、ビジネススクールの経営戦略の基本だ。

■ビジネススクール修了者の収入は2.5倍

佐藤 海外におけるMBAのバリューについてお話しする。米経済誌フォーチュンや英紙フィナンシャルタイムスによると、米株価指数「S&P500」採用銘柄の最高経営責任者(CEO)の40%はMBAホルダー。さらに、世界の有力企業「フォーチュン500」のトップ10社のうち7社のCEOがMBAホルダーだ。

 MBA取得後の収入上昇率も大きい。ビジネススクール入学前と修了4年目の収入の比較だが、入学時点で24歳以下だった人は145%、約2.5倍増だ。31歳以上だと、もともとの収入が高いので上昇度は低いものの、増えてはいる。MBA取得の費用対効果があるのが、海外の実態だ。

根来 だからHBSに行こうという人間は授業料が高くても見合うと考える。HBSに限らず、有力ビジネススクールが世界企業のCEOをかなり独占している。つまり、大きな会社の経営者を目指すための最短の道は、MBAの取得だ。野心があって優秀な人は、会社を辞めてHBSなど有力ビジネススクールに行く。そういう構造が出来上がっている。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 だが、日本の場合は残念ながらそうではない。日本では、大企業で社長を目指す人は、まずいい大学に入ろうと考える。実際に日本の上場企業の社長の多くは、慶応、早稲田、東京の3大学だ。MBA取得によるトップ就任ルートは、日本では確立していない。MBAを取得しても、収入もそう上がらない。

 海外ではMBA、ホルダーだけが参加できる経営幹部候補者の労働市場がある。だからHBSの修了証書が学歴として有効となる。東大経済学部卒業と同等の意味を持つ。だが、日本のビジネススクールではそうならない。

 では、日本のビジネススクールは投資に見合わないのか。そうではない。日本のビジネススクールは自己能力の強化にあり、長期的投資には見合う。なぜなら、修了生のキャリアを変えるからだ。例えば、企業内昇進や転職、起業だ。長期的なキャリアを有利にする確率を上げる、そういう投資だ。この図式を理解している人はWBSにも来てくれるが、米国ほど分かり易くはないため、日本のビジネススクールの評価も上がらない面がある。

 続いては規模についての議論を。

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