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日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

■世界トップ36ビジネススクールの学生数は4万人以上

佐藤 2008年までの数字では、世界トップ36ビジネススクールの学生数は4万人以上で少しずつ増えているが、この傾向は変わっていないだろう。36校のうち上位20校の内訳を見ると、全体の学生数が増えている中で、フルタイムMBAコース(主に平日昼間に授業を行う)の学生数はほとんど変わっていない。

 しかし、下位21~36位校の学生数を見ると、フルタイムが減り、代わりにパートタイム(主に平日夜間、休日に授業を行う)が増えている。これは、ビジネススクールに対する学生の期待が厳しくなっていることの反映だ。フルタイムのプログラムは費用対効果に乏しいのではないかと考える学生が増えている。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 トップ中のトップ校はそうでもないが、トップ群でも下位校は非常に厳しくなりつつある。どの学校にも共通して授業料が非常に高騰しており、それをどう正当化するか考え、プログラムの中身を進化させている。

根来 米国のビジネススクールは大企業幹部への最短経路ではあるが、それが当てはまるのはトップ20校あたりまでだ。米国では過大なMBA幻想がなくなりつつある。パートタイムが増えるのはその証左であり、トップ20に入れないような学校は、そちらの需要を拾う方向にシフトしている。WBSでは今年800人が受験し、300人ぐらい合格するが、6割はパートタイム。米国の現状と同じような構造だと言えるだろう。

 次いで、こうした状況の中、ビジネススクールはどのような改革をしていくべきかを議論したい。

■ハーバードが取り組む新科目「フィールドスタディー」

佐藤 HBSではケースメソッドによる教育をずっと実施している。これは変わらないが、5年前に新科目を1年目の必修に加えた。これは100年の歴史で初めてケースメソッドに基づかない科目だ。それが「フィールドスタディー」。現場に放り込んで経験させることでリーダーシップを育てようという狙いであり、知識と実践のギャップを埋める新しい教育方法と考えている。

 背景として、2000年後半から、MBA教育に対する批判が経営者やリクルーターの間から出てきたことが挙げられる。知識や分析力というKnowingに偏り過ぎであり、Doing(実践)やBeing(価値観、自己認識)をもっと入れるべきだという批判がかなりあった。

 もうひとつの理由が2008年の金融危機。リーマン・ブラザーズが倒産したが、当時のCEOは残念ながらHBS修了生。内部で非常な反省があった。さらに、ニティン・ノリアというインド人が2010年7月から学長になったこと。彼が前述の経緯を踏まえて新たなものを作ると決め、翌11年から新プログラムを始めた。

 フィールドスタディーは1年を通したプログラムだ。まず「フィールド1」で、自己を振り返る。「フィールド2」は発展途上国でローカルパートナーとプロジェクトをやる。「フィールド3」はチームでマイクロビジネスを立ち上げる。しかもチームの6人は互いにフラットの関係、6人の学生が対等な立場でプロジェクトをやるというのがポイントだ。フィールドスタディーを通じて、よりバランスのとれたプログラムにしようという意図がある。

根来 WBSにはそうした課題はない。なぜなら労働市場が違う。修了していきなり社長になって倫理観を求められる訳ではない。WBSが目指すのは将来、経営幹部になるためのファイナンス知識の強化だ。

 HRM(人材マネジメント)だけでは経営できない。それが今回、2つのスクールを統合した理由だ。そして、戦略系とファイナンス系に大胆に資源をシフトした。MBAで学ぶべき全科目をそろえているが、教員の配置はアンバランスで、戦略系とファイナンス系を厚くしている。将来の経営幹部を育て、日本のビジネススクールの地位を向上させるには、この2つが重要と考えているからだ。

 もうひとつは、グローバル人材の育成。そのために、「日英科目」を設置した。これは英語を使う授業だが、苦しくなったら日本語も使える。こうしたものを10科目ぐらいつくった。

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