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日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

■日本のビジネススクールの求めれる4つのポイント

 「日本のビジネススクールはどうあるべきか」について、4つのポイントを挙げたい。

 まず、労働市場とビジネススクールの関係をつくらなくてはいけない。そのためには、「日本のビジネススクールに行った人は優秀だ」「日本のビジネススクールに行くと経営幹部により早くなれる」という認知を広げねばならない。時間はかかるだろうが、経営者になれる能力を持った人材を潜在的につくっていく必要がある。

日本企業に元気を! いまMBAが求められるわけ

 どうつくるかだが、パートタイム(夜間)プログラムに鍵がある。フルタイム(昼間)のプログラムも大事だが、夜は働きながら自費で来る人が多く、トップクラスの人材も多い。そこからの修了生が、10年から15年たって優れた経営者になる。するとWBSの地位もおのずと向上する。労働市場におけるビジネススクールとキャリアパスの関係を10年かけて変えていくというのが、WBSの10年戦略だ。

 2つめに、グローバル人材の育成。英語プログラムは、現在はフルタイム(昼間)中心だが、ここを強化し、10年後にはパートタイム(夜間)でも英語だけで学ぶプログラムを作る。

 3つめは、キャリアウーマンの職業復帰への貢献。育休中にMBAを取得したり、一旦、会社を辞めてから労働市場に戻るためにMBA取得を経たり、という機会を広げていくことが社会の発展に貢献すると考えている。

 最後に、収入構造を盤石にするために、ノンディグリーのエグゼクティブ教育の強化が必要だ。ここで収入を増やせば、MBAコースにもお金をかけられる。結果的に全体として強いビジネススクールになれまる。これは、WBSだけでなく、日本のほかのビジネススクールでもやるべきことだ。

■日本でMBAの価値を確立しなければならない2つの理由

佐藤 MBAの価値を日本の社会の中で確立してもらいたい。これには2つの意味がある。

 まず、日本の企業に元気がない理由を考えると、多くの企業がビジネスの基本を踏まえておらず、本来やるべきことをやらない会社があまりにも多いことに行き当たる。

 HBS日本リサーチセンターの役割は、HBS教員の日本企業に関する研究や、教材として使うケースの作成をサポートするのが一番大きな仕事だが、残念ながら、教員はなかなか日本企業に興味を持たない。それは、日本企業の元気がない、グローバルな活躍をしていない、イノベーティブでないというのが大きな原因だ。私も日本人なので、日本に注目企業がたくさん出てほしい。そのためにも日本のビジネススクールが果たす役割は大きい。

 日本の大企業のCEOには「資本コスト」の概念をほとんど知らない人も多い。要するに基本が分かっていない人が余りにも多いということだ。あるべき経営の知識を広めるために、ビジネススクールの活用がもっと広がってほしい。そのためにはMBAの価値がもっと認識される必要がある。

 もう一つは修了生の問題だ。日本人修了生は、会社の経費での派遣にもかかわらず、帰国後に会社を辞める人が多い。理由は主にふたつ。まず、年功序列の中で若い人が活躍する場がないこと。次に、会社や上司が、帰国した修了生の扱いに困ること。

 HBSではインパクトの大きな教育をするので、違った価値観、発想を持った人間に育って帰ってくるが、そうした人材の受け入れができない。まさにダイバーシティー(多様性)マネジメントだと思うが、その人材の多様性と受け入れの重要性を理解できない。

 もしMBAの価値を認めていれば、人材をもっと有効に活用できる、その人材も会社に貢献できるだろう。こうしたことへの期待も含め、日本におけるMBAの価値を上げることは大変重要だ。

(ライター 猪瀬聖)

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