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日本には強いリーダーを育てる教育がない・日産志賀氏

■重要なのは、思っていることを伝えるコミュニケーション力

サシン経営管理大学院日本センターの藤岡資正所長(右) Photo: Naoyuki Ishida サシン経営管理大学院日本センターの藤岡資正所長(右) Photo: Naoyuki Ishida

井口 英ピアソンが、アジアの主要各国のビジネス英語レベルを調査したところ、日本が最下位だという結果が出ました。タイの結果も良くはないですね。日系企業のグローバル化には英語力も壁のひとつのようですが、日産はどのようにして、語学の壁を乗り越えたのでしょうか。

志賀 1999年にルノーと提携して以降、海外経験のある社員がさらに増えました。難しい話し合いには通訳も使いますが、多国籍な社員と仕事ができる英語力があります。しかし、言語が障壁になってはならないですがし、たとえ英語ができても、本職の能力がないと仕事にはなりません。言語はあくまでもコミュニケーションのツールです。仕事ができるなら、英語は学べば良いのです。

井口 役員の候補に仕事ができて英語ができない人と、英語ができて仕事ができない人がいたら、どちらを選びますか。

志賀 言葉ができても中身がなければ仕事にはならないし、伝達能力、理解力も必要ですね。

井口 タイ人も英語は苦手ですか。

シリユッパ 大企業のマネージャークラスになると上手ですが、公務員や一般社員の英語能力は低いです。

藤岡 英語力もですが、思っていることを伝えるコミュニケーション力がさらに重要です。何度も失敗を繰り返して、上手になっていくものです。ツールとしての語学ではなく、文脈を読みながらジェスチャーを交えて動きの中で伝えていくという実践知が大切です。

■ビジネスの世界に正解はない

Photo: Naoyuki Ishida Photo: Naoyuki Ishida

井口 次世代リーダーを育成するにあたって、日本の教育に対してどのような課題を感じますか。

藤岡 難しい質問ですが、ビジネススクールに関していえば、学際的なアプローチが少ないという点と、国際水準のアカデミックな厳密さとビジネスでの有用性のバランスを担保する、ケースディスカッションというのは一部では行われていますが、フィールドスタディーなどを通じた「アクションラーニング」の場は決定的に欠けていると思います。また、クラスの多くが日本人であり、異文化マネジメント能力の開発は十分ではないかもしれません。

志賀 日本以外の大企業で、日本人の最高経営責任者(CEO)を見かけることはありませんよね。日本は強いリーダーが育つ教育をしてこなかったということです。先生が授業を主導して、正しい答えが言える人しか当てないシステムでは、生徒は手を挙げたくなくなってしまいます。日本人は「正解」を好みますが、間違いに関係なく、意見が言えないといけない。ビジネスに正解はありません。日本は小学校から変わらなければなりません。

藤岡 日本では教師が主役であり、学生達は議論や対話を通じてお互いに異なった価値観やモノの見方を学ぶ機会が少ないのではないでしょうか。「教育」のみならず「学習」の比重も高めていくべきです。

(ArayZ 北果林)

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