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日米で真逆のガバナンス改革~株主価値経営のねじれ問題とは?

早稲田大学ビジネススクール平野正雄教授のコーポレートガバナンス論(2)

コーポレートガバナンスにおける「Principal‐Agent問題」

 本稿の第1回では、今日の株主価値経営やコーポレートガバナンス論の原点を、その歴史的背景を遡ることで確認した。さて、それでは、一見定着したように見えるこのような概念や制度は、どのような経緯や議論を経て、特に日本企業において導入・進化してきたのだろうか。

 前回は株式会社における所有と経営の分離に関して、所有者 - 株主 - の立場にとってその意味合いを簡単に紹介した。特に、株主からは経営の実態について直接関与することはできず、任命した経営者に企業経営を付託することになることは既に述べた通りである。では、経営者にとっては所有と経営が分離されていることの意義や意味合いは何であろうか。

 実は株主から付託を受けた経営者は、Fiduciary(受託者)としての責任を全うすることが求められるのだが、言い換えればその範囲において、自由に会社経営に対する強大な権限を振うことができるのである。もちろん、重大な意思決定事項に関しては、取締役会による承認や株主総会での決議は必要になるが、それ以前の段階では経営者の意向により施策は整えられるので、実体として経営者は相当の経営の自由度を確保することができるのである。

 このことは、経営者には株主利益に尽くすという原則があったとしても、相当の自由裁量が与えられているので、その気になれば私利私欲を追求することも可能であることを意味する。このような株主の情報や権限の格差を利用して、経営者が株主利益保護から逸脱するような行為を行うことを、コーポレートガバナンスにおける「Principal‐Agent問題」と言い、特に米国で盛んに議論された問題である。

 ここで言うPrincipal‐Agentとは、簡単に言えば依頼人(Principal)と、依頼を受けた代理人(Agent)の関係を指すもので、問題は代理人が真に依頼人の利益のために活動するのだろうか。そこには、代理人が個人の利己心から依頼人の利益に反する行為に走るのではないか、という懸念が強く存在するのである。

>> 米国の経営者は強いリーダーシップゆえ暴走も

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