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日米で真逆のガバナンス改革~株主価値経営のねじれ問題とは?

ベクトルが真逆な日米のガバナンス改革

 さて、我が国のコーポレートガバナンスの制度改革も、一見するとこのような米国の改革を追随しているように見えるが、大変に興味深いことに、両国間では企業のガバナンス問題の基本的な命題が極めて対照的なのだ。これはどういうことなのだろうか。

 上述したように米国のコーポレートガバナンス改革が経営者の暴走の抑制が大きなテーマであったのに対して、実は日本におけるガバナンス改革論の主眼は、経営者が問題を先送りして経営改革を断行しないなど、経営者の不作為の排除にあるのである。経営者の暴走と不作為、まさしくガバナンス改革で対処すべき問題のベクトルが日米で180度異なるとも言えるのだ。

 しかし、命題が逆方向にも関わらず、導入される施策は、取締役会の機能強化、情報開示の拡大、投資家との対話重視など、共通であることが、興味を呼ぶのである。では、日本企業のガバナンス改革の背景を改めて探ってみよう。

 紙数の関係で簡略化するが、戦後長く日本では、企業間の株式の持ち合いや取締役の内部登用、あるいはいわゆるメーンバンク制などにより、経営に対する外部株主からの影響を限定するような建て付けで企業経営はされてきたと言える。実際にメーンバンクは、余程の経営危機、すなわち貸したお金が帰ってこないような事態にならない限り、経営に関与してくることはないので、この頃の日本企業は経営者主権と呼べるほど、経営者には広大な裁量権が与えられていた、と言える。

 だが、日本の経営者は滅多に暴走しない。いや、暴走はともかくとしても、痛みの伴うような改革を先送りする経営の不作為が発生するのである。何故か。その大きな理由に経営者の選任のあり方がある。つまり、穿った言い方をすれば、日本企業では暴走するような人物を経営者に選ばないのである。

>> マルチステークホルダー論は経営者の言い訳

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