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フレームワークで働き方改革!

カタカナ会社は風通しがいい? 新しい報連相に注目!(堀 公俊)

第7回 コミュニケーションを促進する「報連相」

カタカナ名の会社は風通しがよい?

 皆さんは「風通しの良い会社」がどこか、ご存じでしょうか。
 転職情報会社エン・ジャパンが運営する口コミサイト「会社の評判」が、企業の現・元社員(非正規含む)にアンケートして得た「風通しの良い会社ランキング」を発表しています。1位から3位をリクルートグループ(リクルートキャリア、同ライフスタイル、同ジョブズ)が独占し、4位にスターバックスコーヒージャパンとアクセンチュアが並んでいます。

 100位まで見ると、情報系、外資系、コンサルティングを中心に、カタカナの名前の企業がずらっと並んでいます。製造業に限っても、上位から富士ゼロックス、ソニー、本田技研工業、日本ヒューレットパッカード、トヨタ自動車の順になっています。因果関係は分かりませんが、どうやら企業名が風通しの一つの判断材料になるようです。

 ところで、風通しとは一体何なのでしょうか。多くの方がイメージするのが縦の風通しです。上下関係がフラットであり、誰にでも何でも対等な立場で話せる組織です。

 加えて、横の風通しもあります。仲間同士で腹を割って話ができ、部門の壁が低い、というものです。両者があいまって、自由闊達な雰囲気をもった会社を、風通しが良いと呼びます。

 そんな風土をつくるのに役立つシンプルでパワフルなフレームワークを一つ紹介しましょう。

日本生まれの古くて新しいフレームワーク

 それが、山種証券(現SMBCフレンド証券)の社長だった山崎富治氏が提唱した「報連相」(ホウレンソウ)です。意外に思われた方もいるかもしれませんが、働き方を考える上で見逃せないフレームワークの一つです。

 報告とは、与えられた指示や依頼に対して、進捗や結果をレポートすることです。「あれ、どうなっている?」と言われる前に、自ら積極的に行うものです。

 連絡とは、必要な情報を関係者に知らせる行為です。みんなが同じ情報を分かち合ってこそ、チームとして足並みがそろった活動できます。

 相談とは、一人で決定できない問題に対して、助言を求めたり、解決策を議論したりすることです。組織の智恵や経験を活用するために欠かせません。

 これら3つが、活発に展開されれば、コミュニケーションの密度は飛躍的に上がります。それが風通しの良い会社に他なりません。

カタカナ会社は風通しがいい? 新しい報連相に注目!(堀 公俊)

なぜ、企業の不祥事が繰り返されるのか?

 ところが、「報連相を徹底する」と聞くと、逆のイメージを持つ方が多いのではないかと思います。

 上司が「報連相は部下の責務」と考え、「余計なことは考えるな」「判断材料は逐一持ってこい」と強要する。部下は自分で何も考えず、せっせと情報提供するだけになる。そんな職場です。

 実は、提唱者がつくりたかったのは、それとは正反対の職場です。

 報告を重んじたのは、「こんなのとても言えないよ」といった、都合が悪い情報が上がってこないことを防ぐためです。上司側にしても、「悪い話は聞かなかったことにする。自分で何とかしろ」となったのでは意味がありません。

 それに、私たちは自分の仕事に没頭するあまり、どうしても情報共有を疎かにしがちになります。連絡を怠ると、「え、聞いてないよ」「だったら、早く言ってよ」となって、仕事の効率が悪くなってしまいます。

 加えて、「私の責任だから」「一人で何とかしなければ」と抱え込んで悶々とするのは、誰のためにもなりません。周囲に相談すれば、案外簡単に片づいたり、突破口となる新しい発想が生まれるかもしれません。チームの絆を高めるのにも寄与します。

 こう考えていくと、昨今マスコミをにぎわした、粉飾や偽装などの企業不祥事は、本来の報連相ができていなかったからと言っても過言ではありません。風通しのよい職場をつくるために報連相があることを忘れると、あんな醜態を招きかねないのです。

今の時代に適した報連相の進め方

 手段が目的化しないために、今の時代に適した、賢い報連相のやり方を紹介しておきましょう。

 1つ目は、報連相は、部下が上司にするのはもちろん、上司が部下にもやる必要があります。組織のメンバー全員が、縦横問わず双方向でやるからこそ、さわやかな風が吹き抜けます。

 「なんで俺が部下に報告を……」と思った方は、もう一度風通しの話を読み直してください。部下は上司への奉仕者ではなく、仕事のパートナーに過ぎないことをお忘れなく。

 2つ目に、何でもかんでもやるのは愚の骨頂。仕事の目的、課題の重要度、相手の立場などを考え、メリハリをつけてやることです。やり取りする内容にしても、事実、判断、思考など、いろんなレベルがあります。今、どのレベルの情報が必要か、よく考えてからやるようにしましょう。

 3つ目に、情報はタイミングが重要です。目まぐるしく変わるビジネス環境において、一瞬の遅れが取り返しのつかない事態を招く恐れがあります。

 「来週の会議でまとめて」「もう少し確度を上げてから」という気持ちも分かりますが、インフォーマルでもよいので、早目に情報を上げるようにしましょう。そのために、さまざまな情報インフラは最大限に活用したいところです。

◇   ◇   ◇

堀 公俊(ほり・きみとし)
カタカナ会社は風通しがいい? 新しい報連相に注目!(堀 公俊)
 日本ファシリテーション協会フェロー、日経ビジネススクール講師
 1960年神戸生まれ。組織コンサルタント。大阪大学大学院工学研究科修了。84年から大手精密機器メーカーにて、商品開発や経営企画に従事。95年から経営改革、企業合併、オフサイト研修、コミュニティー活動、市民運動など、多彩な分野でファシリテーション活動を展開。ロジカルでハートウオーミングなファシリテーションは定評がある。2003年に「日本ファシリテーション協会」を設立し、研究会や講演活動を通じてファシリテーションの普及・啓発に努めている。
 著書に『ワンフレーズ論理思考』『ファシリテーション・ベーシックス』『問題解決フレームワーク大全』(いずれも日本経済新聞出版社)、『会議を変えるワンフレーズ』(朝日新聞出版)など多数。日経ビデオ『成功するファシリテーション』(全2巻)の監修も務めた。

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