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財務分析の要は比較 アップルとIBMの違いは? 第7回 アップルとIBMの財務諸表を分析してみよう

 自己株式取得の目的はいろいろあります。敵対的買収からの防衛やストックオプション付与のためにも行われます。ただ、重要な目的はやはり株主への利益還元です。自社株式を取得すれば、市場に出回っている株数が減りますから、一般的には需要と供給の論理で株価は上がります。さらに、市場に出回る株数が減るので、企業の配当金負担が減り、相対的に一株あたりの価値が高まります。

 自己株式の取得にはもう一つ重要な目的があります。それはROEの向上です。ROEの計算式は次の通りでした。

ROE=当期純利益(Net income)÷株主資本(Stockholders’ equity)

 ROEを上げようと思えば、分子の当期純利益を上げるか、分母の株主資本の額を減らすかしかありません。自己株式を取得すれば株主資本の額が減りますからROEが上がるわけです。

 自己株式の取得は株主にとって非常にありがたいオペレーションですし、業績を株価やROEで評価される経営者にとっても有効なオペレーションなのです。

 アップルもIBMも共に優良企業です。稼ぎ出したお金をアップルのように現金や有価証券という形で持っている会社もあれば、IBMのように自己株式の取得に使っている会社もあります。経営の考え方はいく通りもあるのです。

◇   ◇   ◇

國貞 克則氏(くにさだ かつのり)
ボナ・ヴィータ コーポレーション代表取締役、日経ビジネススクール講師
財務分析の要は比較 アップルとIBMの違いは?
 1983年東北大学工学部機械工学科卒業、神戸製鋼所入社。海外プラント輸出、人事、企画、海外事業企画に従事。96年米国クレアモント大学ピーター・ド ラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立して独立。「社長の右腕業」として中小企業の経営企画・人事組織・ 会計財務面をサポートする。経営幹部・管理職向けリーダー育成研修、わかりやすく会計の仕組みが理解できる会計研修などが得意分野。
 著書に『財務3表一体理解法』『財務3表一体分析法』『財務3表実践活用法』(以上、朝日新聞出版)『The Trilateral Approach:グローバルに働く人の英文会計』(ボナ・ヴィータ コーポレーション)『書いてマスター!財務3表・実践ドリル』(日本経済新聞出版社)『究極のドラッカー』(角川新書)等、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)がある。

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