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財務分析は「図にする」のが早道 アップルの17年9月期は?

■図解分析における7つのステップ

 ここで、今までに説明してきた図解分析のステップをまとめておきましょう。

①貸借対照表の右側でお金の集め方のチェックする(特に有利子負債の確認)
②利益剰余金の額でおおよその過去の実績を見る
③貸借対照表の左側で集めてきたお金が何に投資されているかをチェックする
④貸借対照表から会社の安定性や大まかな会社の状態を読み解く
⑤総資産回転率で投資効率をチェックする
⑥当期純利益率で収益性をチェックする
⑦気になるところの数字を実際の財務諸表で詳細にチェックする

 以上のステップに従って⑥番まで進めば、会計の素人であってもいろんなことが気になってくると思います。①から⑥の図解分析で大まかな会社の状態をつかんでおいてから、実際の財務諸表の数字をチェックするという順番で財務分析を行えば、アレルギーを感じることなく財務諸表に取り組むことができると思います。

 ただ残念なことは、このような図解分析をしても、会計の素人は評価ができないのです。例えば、アップルの営業利益率(Operating income margin)が26.8%であるとうことは、図に書いてあるからわかります。しかし、この26.8%という数字が自動車業界において良い数字なのか悪い数字なのか、会計の素人はどう評価していいのかわかりません。

 公認会計士(Certified public accountants)や税理士(Certified tax accountants)などの専門家が、1社1期分の財務諸表を見ただけでそれを評価できるのは、日頃から膨大な数の財務諸表を見ているからです。そのような彼らの頭の中にあるデータの蓄積と、目の前にある1社1期分の財務諸表を比較できるから評価できるのです。私たち会計の素人は日頃から財務諸表を見ていないので1社1期分の財務諸表を見ただけでは評価できません。

 しかし、心配しないでください。例えば、アップルが過去から現在までどのように財務諸表の数字が変わってきたかという期間比較(Trend analysis)や、同業他社と比較する同業他社比較(Peer group analysis)を行えば、私たち会計の素人でもかなりのレベルの財務分析ができるようになります。

 次回のコラムでは実際にいろんな会社の期間比較と同業他社比較をしてみましょう。

◇   ◇   ◇

國貞 克則氏(くにさだ かつのり)
ボナ・ヴィータ コーポレーション代表取締役、日経ビジネススクール講師
財務分析は「図にする」のが早道 アップルの17年9月期は?
1983年東北大学工学部機械工学科卒業、神戸製鋼所入社。海外プラント輸出、人事、企画、海外事業企画に従事。96年米国クレアモント大学ピーター・ド ラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立して独立。「社長の右腕業」として中小企業の経営企画・人事組織・ 会計財務面をサポートする。経営幹部・管理職向けリーダー育成研修、わかりやすく会計の仕組みが理解できる会計研修などが得意分野。
 著書に『財務3表一体理解法』『財務3表一体分析法』『財務3表実践活用法』(以上、朝日新聞出版)『The Trilateral Approach:グローバルに働く人の英文会計』(ボナ・ヴィータ コーポレーション)『書いてマスター!財務3表・実践ドリル』(日本経済新聞出版社)『究極のドラッカー』(角川新書)等、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)がある。

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