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大人の英語はディベートから 思考力+言語運用能力を磨け 松本茂の英語コミュニケーション塾(1)

 仕事で英語が必要になる場面が増えている。一方で英語への苦手意識は多くのビジネスパーソンに根強く残る。NHKEテレの「おとなの基礎英語」で長年講師を務める松本茂・立教大学教授に、仕事で使える英語を習得する効果的な勉強法について語ってもらった。

■必要なのはアウトプットできる能力

 海外の企業を傘下に入れたり、外国にある本社が日本支社を直接管理するようになったりするケースがここ数年急増しており、ビジネス場面で英語が必要となることが増えてきています。その英語も、今まではせいぜい電話や電子メールで使う程度だったものが、会議で自社の方針を説明して質問に答えたり、問題を分析して改善策を議論したり、といった高いレベルの力が必要になってきているようです。

 「日本語がわからない人が出席している会議は英語で」というルールが採用された途端に、沈黙してしまうということはないでしょうか? そんな会議で黙っていると、人事評価も下がってしまいかねません。立教大学で開催された講演会で、当時、大手メーカーの本部長・取締役だった方が「英語しか通じないビジネス環境では『英語力がない=能力がない』と同じで、アウトプットされない能力に給与は払えない」と語っていたのを思い出します。裏を返せば、英語をある程度のレベルまで使えるようになれば、あなたの世界は間違いなく広がり、評価が高まることは間違いないでしょう。

■「個人学習→対話的学習→実践」というサイクル

 「英語を身につける」「英語ができる」ってどういうことなんでしょう? 英語は情報、思考、意志、感情などを伝え合う媒介です。学校で教科として学んでいた時の感覚はもう不要です。実際に、どのような英語、どのレベルの英語が必要なのか、また、どの分野の英語が必要なのかは人によって違います。となると、100人いれば100通りの「英語ができる」状態があるはずです。大手グローバル企業でよく使われている実践的な英語テスト「VERSANT(バーサント)」やTOEICで何点というのはあくまで目安です。大切なのは、自分で「いつまでに、英語で○○ができるようになっている」という自分軸の目標を定めるということです。

 目標が定まったら、次はゴールを達成するための「Myカリキュラム」を設定する必要があります。それには、私が提唱している「PICサイクル」を参考にしてください。

松本茂のPICサイクル

大人の英語はディベートから 思考力+言語運用能力を磨け

 野球やサッカーなどの団体スポーツの選手が、個人での練習、複数の人たちとの練習や練習試合、そして公式試合というサイクルを回しているように、英語の学習でも、「個人学習」「対話的学習」「実践」という流れを構築するようにしましょう。

 そして、ビジネスの場面でのアウトプットを想定して、それに必要な学習メニューを立てる必要があります。同じ会社であっても、広報を担当していれば、英文ドキュメントを作成するための書く力などが有効ですが、営業担当であれば、アイスブレイキングのための会話力、商品の特長を説明するプレゼンテーション力、リスニング力、質問に答えられる応答力、好印象を与える発話力などが重要になるでしょう。

 何よりも自分が必要となる「内容」と「英語」を融合させる必要があります。「英語資格検定試験の結果がよくても英語が使えない」というレッテルを貼られてしまう人の多くは、この融合ができていないからです。自分の仕事に関連した内容を和文と英文の両方で読んだり、単語や表現を学習したりすることが必要です。例えば、学校ではquoteという単語は「引用」という意味で習ったでしょうが、ビジネスでは「見積り」という意味で使われます。

■言語運用能力を磨くディベート

 そして、言語運用能力は「思考力」と密接に関係しているので、「思考力」を伸ばすと「英語力」も効果的に伸びます。そのための学習法として再び脚光を浴びているのがディベートです。数年後には、高等学校の英語科や国際科には「ディベート・ディスカッションI~II」という科目が設定されることが決まっています。また、普通科でも「論理・表現I~III」という科目が設定され、ディスカション、ディベート、エッセーライティングなどの指導が行われます。

 なぜディベートが思考力を伸ばすのに有効かというと、ディベートする相手と聞き手(聴衆)から「論理性」を求められるからです。「相手の発言に論理的一貫性があるかどうかを批判的に聞き、反論する、反ばくする」というやり取りをし、聞き手(聴衆)からフィードバックをもらいます。このようにインタラクティブな論理的活動を通して、思考力が伸びるとともに傾聴力や発信力も同時に伸ばすことができます。

 英語でディベートをすることは、意外かもしれませんが、通常の英会話よりもある意味簡単です。ディベートでは英会話のように自分でトピックを探す必要がなく、かつ立場が決まっているので何を話すかを思いつきやすいのです。ディベートでは論題が与えられているため、スピーチのように自分でトピックを決める必要がありません。また、ディスカッションのように自分自身の考えや立場を決めたり、最終的には合意を形成したりする必要もありません。たとえば”We should have more female managers.”といった論題が設定されており、暫定的に立場を決めて(あるいは決められて)話すので、何もないところから考えなくて済むので気も楽です。

 最初から英語でディベートを行うのは自信がないという方はまず日本語でディベートを習うとよいかもしれません。日本語ディベートと英語ディベートを並行して学ぶと、同じ論題でしたら倍量の活動ができるので、相乗効果も期待されます。子どもとは違い、仕事で思考力を活用している社会人の場合、日本語ディベートを学びながら英語ディベートも学ぶと、短期間で英語ディベートを身につけることができるでしょう。

松本茂
 立教大学経営学部国際経営学科教授、グローバル教育センター長。NHK Eテレ「おとなの基礎英語」で講師を務める。著書に『頭を鍛えるディベート入門』『英会話が上手になる英文法』など。

◇   ◇   ◇

 松本氏が講師を務めるディベートセミナーが東京・新橋で下記の日程で開催されます。

◆1月8日(月・祝) 9:30~12:30
松本 茂の「日本語ロジカルスピーキング講座」(入門編)
◆1月8日(月・祝)13:30~16:30
松本 茂の「英語ロジカルスピーキング講座」(入門編)

 詳細はこちらをご覧ください→http://soudane.jp/

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  • 大人の英語はディベートから 思考力+言語運用能力を磨け(2017/12/19)

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