グローバル化の進展で、対外ビジネスをするときはもちろん、国内事業にからんでも英文会計の理解が必要な局面が増えている。財務3表を一体的に学ぶ勉強法を提唱する会計研修のプロ、ボナ・ヴィータコーポレーション代表取締役の國貞克則氏は、同じ勉強法が英文会計でも有効と話す。國貞氏に、この勉強法に則った英文会計の基礎を8回にわたって解説してもらう。第6回は、アップルの2017年9月期の財務3表をもとに財務分析のやり方を見ていこう。
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■貸借対照表と損益計算書の数字を図にしてみる
前回のコラムで説明した財務分析の基本的な考え方をベースにして、実存する企業の財務分析をしてみましょう。図表1はアップルの2017年9月期の貸借対照表と損益計算書の数字を同じ縮尺で図にしたものです。
貸借対照表と損益計算書の数字を図にするとは、数字で書かれたデジタルデータを図形というアナログデータに変換したということです。人間はデジタルよりアナログのほうがいろんなことを直感的に把握できます。例えば、デジタル時計は○×時△□分というように4つの数字を読まなければ時間はわかりませんが、アナログ時計は長針と短針の位置関係から瞬時に時間を読み取ることができます。
図表1の単位は百万ドル($ in million)ですが、1ドル=100円で換算すれば、1百万ドルは1億円ですから、金額がイメージしやすいと思います。例えば、アップルの売上高$229,234millionは約22兆9千億円ということです。
図表1 アップルの貸借対照表と損益計算書の数字を図にしたもの