Case02

全職員が海外を
経験する組織へ

日本政策投資銀行(DBJ)

人事部 次長 村尾 洵一氏
人事部 人事課 調査役 小川 周作氏

2008年に株式会社となって以降、投融資一体型のユニークなビジネスモデルを追求し、国内はもとより海外ビジネスを拡大している日本政策投資銀行(DBJ)。日本企業が進出する欧米やアジアなどを中心に、サプライチェーン強靭化やイノベーション創出を支援する。海外ビジネスが日常化するなか、「国際統括部」を廃止。すべての職員が英語でのコミュニケーションや交渉ができる体制を目指し、各自が定期的に自己レベルを確認するために「VERSANT」を活用する。

職員が定期的に自己レベルを確認

活用内容

新人研修のなかで英語力を測る際、実践でのスピーキング力を重視することになり、2020年から「VERSANT」を選択。同時期に入行から数年経った職員の研修もスタートし、そこでは英語力向上の意識付けとそのレベルを受験者個人が定点観測できる環境を提供するために「VERSANT」を活用している。

目的

  • 全職員が英語で業務を遂行できる体制目指す
  • 全職員が海外でビジネスや研修を経験するグローバル人材育成ツールの1つ
  • 一人ひとりがスピーキング力・リスニング力の指標と自信を持つため

課題

  • 1つのビジネスツールとして誰もが一般的に英語を使える環境づくり
  • スピーキング力・リスニング力の向上を促す
  • すべての職員が自己管理で英語習得するための共通化した基準

ネゴシエーションができる
英会話力を求めて

海外における先進的な政策やビジネス、
ファイナンスなどの動きをいち早くキャッチし
日本の社会に役立てていくことが
重要な役割になっています。

海外における先進的な政策や
ビジネス、ファイナンスなどの
動きをいち早くキャッチし
日本の社会に役立てていくことが
重要な役割になっています。

政府系金融機関であるDBJの業務において、
英語が重要視される背景と「VERSANT」を導入した理由について教えてください。

村尾 日本企業のグローバル化と共にDBJの海外事業は拡大していきましたが、いまでは海外における先進的な政策やビジネス、ファイナンスなどの動きをいち早くキャッチし、日本の社会に役立てていくことが重要な役割になっています。特にグリーンエネルギーやAI(人工知能)など社会変革につながる最新情報を掴むためには、一人ひとりの職員が多様な情報や人脈、ビジネスと接点を持つ必要があります。
既存の業務や担当分野に縛られていては多くのチャンスを逃してしまうため、すべての職員が海外や日本の各地のビジネスを経験する機会を提供しながら、クロスボーダー化した思考を備えてもらうことを目指しています。数年前に国際統括部という部署を無くし、海外ビジネスが日常になっている実情に沿った組織構成に再編しました。そのなかでは、契約書を読み解く力だけでなく、海外のパートナーとの信頼関係の構築や情報提供が得られるコミュニケーション力が必要となるため、すべての職員の英語力向上を日常的な目標として掲げています。

小川 従来より新入職員への研修の際に英語力を測定していましたが、これまでのテストではスピーキング力の測定が不明瞭でした。スピーキング技能を測定する体制を整備することで、個々の職員による学習計画の策定に役立ててもらうべく、2020年から「VERSANT」を追加し、新人職員向けの研修のみならずミドル層手前の職員対象の研修プログラムにも採用しました。
導入検討時には他社サービスも候補には挙がりましたが、以下の点を踏まえて決定しました。

  1. 曖昧性を排除したAIによる採点システムが、職員が個々の状況に応じて学習計画を立てる上で有用だと考えた点
  2. 時間の有効利用という観点で完全オンラインという形態に魅力を感じた点
  3. コストパフォーマンスの良さ

実際に海外での投融資では英語の交渉だけでなくリスクの検討やヘッジへの対処など、様々な場面で英語でのネゴシエーションが必要で、国内の人事部にいても海外ビジネススクールへの短期研修プログラムなどを企画する際には、現地のビジネススクールとカリキュラム内容の検討や要望を伝えなければなりません。どの業務においても同じように英語力がビジネスの成否に大きく関わるケースは、今後ますます増えると考えています。

インタビュー画像 インタビュー画像

3回訪れる
海外留学・研修のチャンス

グローバル展開のスコア基準が、
DBJの目指すグローバル化に必要とされる
英語力の目線と合致しているので、受験者たちの
モチベーション維持の大きな支えとなっています。

グローバル展開のスコア基準が、
DBJの目指すグローバル化に必要
とされる英語力の目線と合致して
いるので、受験者たちの
モチベーション維持の大きな 支えとなっています。

グルーバル人材育成に向けた施策と「VERSANT」の活用方法について教えてください。

村尾 人材育成制度の中で職員たちが海外派遣の経験ができる機会はキャリアのなかで主に3回あります。まず、若手から中堅の職員対象の公募試験合格者約10人が毎年世界各国にMBA留学します。今年からはさらに若い層にも挑戦してもらえる特別枠を設けました。
彼ら若手・中堅層に向けては海外ビジネススクールへの短期研修プログラムも準備しています。英国のオックスフォード大学、スイスのIMD、米国のコロンビア大学の3校と提携し、各校のエグゼクティブMBAプログラムをDBJ用にチューンアップした研修を公募試験合格者60人が毎年1週間強の期間の合宿として経験します。
シニア層に向けては、世界各国・地域の大学に客員研究員として参画するケースも多く、これらの制度だけでなく、海外拠点やグループ会社への赴任や投資先企業などへの出向など、グローバル体験の機会は多様にあります。まだ途上ですが、海外ビジネスが当たり前になるなかでは、すべての職員が海外生活を経験することを目指しています。

小川 基本的には英語トレーニングは新人も含めたすべての職員が自ら英会話スクールや教材を選択し、自己管理で勉強してもらい、その費用を会社が制度として補助しています。「VERSANT」の活用目的も人事部や経営陣が職員の能力を定点観測するというよりは、個人が主体的に自己の欠点や意思疎通に必要な表現に気付き、今後のトレーニングの計画を立てたり、成長へのモチベーションの指標として活用してもらうことに重点を置いています。職員からは「会話が成立していると自負していても、実はあいまいな表現だったことに気付ける」「自分では分からなかった改善点が明確になった」という声も聞こえています。何よりグローバルに展開されているスコアの評価基準が、DBJの目指すグローバル化に必要とされる英語力の目線と合致しているので、受験者たちのモチベーション維持の支えとなっていると思います。

「VERSANT」のスピーキングテストは24年1月にアップグレードしました。
どのように評価されていますか。

村尾 先ほど述べたようにネイティブのような会話よりも、相手の意図が理解でき、きちんと自分の意見が言えることを重視していますので、リスニングも含むコミュニケーション力に評価の比重が傾いたことはDBJの意図により近づいたと思います。ビジネスフィールドで拡大しているのは東南アジアですが、そこでは誰もが発音の流暢さなどは気にせず、あくまでビジネスを推進するためのツールとして交渉方法や情報を収集するための表現を磨いています。もちろん流ちょうに話せるに越したことはないのですが、コミュニケーション力がゴールだということが明確になったことで、受験者もトレーニングの方向性に迷うことがないはずです。

小川 私も過去に受験しましたが、自分の成長度合いとスコアがきちんとリンクしていて、トレーニングにも張り合いが出ました。AI(人工知能)の判定のリアルさに驚きましたが、その精度がさらに上がったのであれば、いまの受験者はさらに正確に自身の実力が分かるはずです。さらなる向上心や自信につながればと期待しています。

インタビュー画像

グローバルな舞台でビジネスモデルを自ら創出する

できるだけ早い時期に
コミュニケーションとしての英語力の本質に気付き、
トレーニングや研修や自らのキャリア設計などを
計画してもらいたい。

できるだけ早い時期に
コミュニケーションとしての
英語力の本質に気付き、
トレーニングや研修や自らの
キャリア設計などを計画して
もらいたい。

最後に、今後のグローバル展開とグローバル人材育成の展望についてお聞かせください。

村尾 DBJのミッションは日本の産業や社会への貢献です。前身の日本開発銀行時代に日本企業の海外進出支援として歩みだしたグローバル化ですが、いまではDBJが海外企業とアライアンスを組み、そこに日本企業を紹介するようなケースもあります。例えば、米国で再生エネルギーのファンドを現地のプレーヤーとつくり、それを日本企業に紹介するなど、ビジネスドメインを固定させることなく、多彩なビジネスモデルを自ら創出するグローバル化が進んでいます。
変化の激しい潮流の中で活躍するのは、世界の動向やビジネストレンドの情報や人脈に精通している人材です。全職員がクロスボーダーに活躍する環境をつくり出すために、まずは全員が海外経験を持つ組織になることを目指します。そのためには機会増大・障害克服の両面が必要という思いから、海外赴任に伴う結婚・出産・子育てなどのライフサイクルとのバランス策や、若手の留学枠を新たに設けており、早い時期にコミュニケーションとしての英語力の本質に気付き、トレーニングや研修や自らのキャリア設計などを計画してもらいたいと願っています。一人ひとりの職員が「金融力で未来をデザインします」という企業理念をグローバルな舞台で実現する組織づくりに、これからも貢献していきたいと考えています。

(※掲載情報は取材当時のものです)

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