新任管理職研修の主な内容と目的|研修を成功させるポイントとは?

2023.12.4
日経ビジネススクール

新任管理職研修は組織や社員が成長をする基礎です。新任管理職には、これまでとは大きく異なるスキルが必要となります。新たな課題に直面して戸惑う人もいるのではないでしょうか。研修担当者の方も、どのような研修をすれば効果があるのか確信を持てずにおられるかもしれません。


本記事では、そのような悩みの解消につながる新任管理職研修のポイントや内容についてお伝えします。

 


日経では、プレイヤーからマネージャーへと意識を転換し、事業をけん引する人材を育てるためのオリジナル研修プログラムを揃えています。経験豊富な人材育成コンサルタントが課題に応じて最適な提案をいたしますので、お気軽にご相談ください。

 ⇒次世代リーダー育成の詳細はこちら

新任管理職とは

新任管理職とは、新しく管理職に登用された人を指します。新任管理職に登用される人材は、これまで主にプレイヤーとして優秀な成績を残してきた人が多いです。

 

しかし管理職になると、部署の成果と部下の成長に責任を取る立場に変わります。これまでとは求められる役割が大きく異なります。悩みを抱えたり、プレッシャーを感じたりする新任管理職もいます。

 

多くの企業では、新任管理職の悩みを解決して管理職への役割移行をスムーズにできるよう、新任管理職の向けに研修を設けています。

新任管理職研修の目的

ここからは、新任管理職研修で大切な4つの目的を解説します。

【新任管理職研修の目的】

  • 管理職としての意識転換
  • マネジメントスキルを学ぶ
  • 部下との関係性のあり方を学ぶ、部下指導や育成
  • 業務のバランスを学ぶ

新任管理職への昇格の際には、まずプレイヤーからマネージャーへの意識改革が必要です。プレイヤー時代は一人で成果を上げることで評価されていました。マネージャーとして活躍するには、部署全体でどのようにすれば成果を上げられるかを考える必要があります。

1. 管理職としての意識転換

たとえば、新任管理職が抱えやすい課題として、部下に業務を任せられずに自分自身で責任を背負ってしまうなどが挙げられます。上司から受けた指示に従って業務を遂行することで評価されていたプレイヤーから、部署を率いる上司の立場に変わり、個人だけでなく部署の成果にも責任を問われます。

 

新任管理職は、優秀なプレイヤーとしての視点に加えて、マネージャーとしての視点も合わせ持つ必要があります。そのため、そういった能力を養うための行動や意識転換を促す研修の受講が望まれます。詳しくは、後述する「業務のバランスを学ぶ」をお読みください。

2.マネジメントスキルを学ぶ

新任管理職は「部下への関わり方がわからない」「部下指導や育成ができない」という課題を抱えやすいです。

 

マネジメント層には、役割認識、業務マネジメント(目標管理)、タイムマネジメント、チームビルディング、リーダーシップなど自分や組織、部下と向き合うのに必要な様々なマネジメントスキルが求められます。また、コンプライアンス、ハラスメントなどリスク管理の知識も必要です。

 

マネジメントとは、現在の組織の中にある「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの経営資源を有効活用し、リスクを管理しながら、最大の成果を上げることです。そのため、新任管理職にはマネジメントスキルを身につける研修が必須となります。

3.部下との関係性のあり方を学ぶ、部下指導や育成

管理職は、部署全員で共通の目的に向かって協力し、部署として最大の成果を出すことが求められます。そのため、部下への適切な指導や育成が必要です。

 

しかしこれまで個人戦で業務を遂行してきた新任管理職の人は「部下との良好な関係性を構築できない」「部下の指導や育成に苦戦している」という課題を抱えやすい傾向があります。

 

その課題を解決するには、部下一人ひとりの状況やレベルなどに合わせて接し方を変えることが大切です。おすすめの研修は、業務マネジメント(目標管理)研修、チームビルディング研修、リーダーシップ研修になります。

4.業務のバランスを学ぶ

管理職に求められる役割の中で大切なのは、部下にあたる人員をうまく動かし、チームとして最大の成果を出すことです。またそれに伴い部下を育成し、自分の業務の範囲で部下に振り分けられる部分は任せることで部署として最大の成果を上げることが求められます。

 

しかし、なかには「どの仕事を振り分ければいいかわからない」「任せるより自分でやった方が早いの」など、プレイヤー感覚で仕事を抱え込んでしまう人が一定程度います。これでは、部下は育ちません。

 

この課題を解決するには、プレイヤー部分とマネージャー部分の業務バランスの取り方についての学習が必要です。おすすめの研修は、タイムマネジメント研修です。


 ※関連記事:マネジメント研修のカリキュラム内容|研修実施時のポイントを解説します!

新任管理職研修の内容例

新任管理職には、身につけなければならない多くのマネジメントスキルがあります。その中でも、とくに大切な8つのマネジメントスキルを身につけられる研修例を紹介します。

【新任管理職研修の内容】

  • マインドセット
  • コンプライアンス
  • 業務マネジメント(目標管理)
  • タイムマネジメント
  • チームビルディング
  • リーダーシップ
  • ビジネストレンド

新任管理職は、優秀なプレイヤーとしての視点に加えて、マネージャーとしての視点も持ち合わせる必要があります。まずはこの能力を養うための行動や意識転換を促す研修をみてみましょう。

1.マインドセット

管理職として活躍するには、一人で成果を上げるのではなく、部署全体としてどうすれば成果が出るのかを考える必要があります。マインドセットは、このような意識転換を目的とした研修です。

 

具体的には、管理職が個人としてどのような役割を期待されているのか、マネジメントの部署が会社全体の中でどういう役割を担っているのかを理解してもらいます。研修内容には、管理職としてやるべきことだけではなく、管理職としてやらないことを勘考することも含まれます。

2.コンプライアンス

企業活動を継続するには、社員には高いコンプライアンス意識が必要です。部下の指導や管理にあたる管理職は、コンプライアンス対策における組織の要といえます。

 

社会におけるコンプライアンスの重要性を受け止め、意識や行動を変えるのが研修の目的です。コンプライアンスの基本知識、部下へのコンプライアンスについての指導方法、ルールを守らない部下への指導方法など具体的なスキルを身につける研修内容になります。

3.業務マネジメント(目標管理)

業務マネジメント研修の目的は、現在の組織の中にある「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つの経営資源有効活用し、最大の成果を上げることです。部下が目標を達成できるか否か、また部署や組織全体の目標達成に影響します。

 

適切な目標を設定し、部下が納得するような形で落とし込み、達成に向けて一人ひとりの状況やレベルなどに合わせた指導や育成の方法を身につける研修です。

4.タイムマネジメント

タイムマネジメント研修は、管理職が部署全体の仕事時間をコントロールし、最大の成果を出すのに必要なスキルを身につけるのが目的です。

 

限られた時間の中で、チームとして高い成果を出す。部下の能力を把握したうえで、仕事を指示し、部下の進捗を管理する方法を身につける研修です。

5.チームビルディング

チームビルディング研修は、チーム全員が共通の目標に向かい、個々のメンバーが主体的に行動して高い成果を上げる優秀なチームに成長させていくのが目的です。チームビルディング研修を通して、チーム全員が同じ目標を持って仕事へと取り組めるようになります。メンバー間のコミュニケーションが活性化し生産性の向上が実現できるようになります。

 

チームビルディング研修は、部下に同じ目標へ向かって努力してもらえる組織づくりの方法を身につける内容になります。

6.リーダーシップ

リーダーシップ研修の目的は、チームを効果的に指導し、チームを高い成果へ導ける人材の育成です。

 

リーダーシップにはさまざまなスタイルがあります。自分自身が持つ複数のリーダーシップ・スタイルをよく理解し、それらをチームや環境によって使い分け、高い成果を上げる方法を身につける研修内容になります。

 

これまでは、管理職が決めたとおりにチームのメンバーが行動するというリーダーシップ・スタイルが大半でした。しかし、今の時代の管理職には、チーム全員に納得してもらい、チーム全員が納得したうえでチームを高い成果へ導けるリーダーシップ・スタイルが求められる傾向が強くなってきています。中長期的な視野で見たときに、どのようなリーダーシップ・スタイルが自分の組織に適しているのかの検討が大切です。

7.ハラスメント

ハラスメントは、職場環境悪化や早期離職など、組織にさまざまな悪影響をもたらします。企業には、パワハラ、女性の就労環境に悪害をもたらすセクハラやマタハラの防止策を講じる責任が求められています。

新任管理職は、現場の長として、ハラスメントの防止策・対応策の知識をしっかり身につける必要があります。

 

ハラスメントの定義や最新事例、具体的な防止策、発生時の対応方法を身につける研修です。

8.ビジネストレンド

ビジネストレンド研修は、部署の戦略を決めるのに際し、外部環境(市場動向、顧客動向、競合動向)を分析するのが目的です。外部環境を踏まえ、部署戦略を遂行するのに必要な業務マネジメントスキルの向上を図ります。

 

外部環境(市場動向、顧客動向、競合動向)を分析し、受講者自身の組織と関連づけて考えるビジネススキルを身につける研修内容になります。

 

日経の経済知力研修では、ビジネストレンドをはじめ「情報感度を高める」「経済への理解を深める」といった力を強化するのに適した内容を提供しています。

※関連ページ:日経経済知力研修

新任管理職研修を成功させるポイント

新任管理職研修を成功させる6つのポイントをお伝えします。

【新任管理職研修を成功させるポイント】

  • 経営戦略と連動させる
  • 新任管理職の理想像を設定しておく
  • 研修の目的をしっかり共有しておく
  • 新任管理職の個人のスキルやニーズに合わせた研修にする
  • インプットとアウトプットの場を設ける
  • 異業種交流を行う

全ての研修は、経営戦略の達成に必要な人材をどのように育成するのか、計画を立てて実施するのが研修を成功させる重要なポイントになります。

 

新任管理職研修を成功させるためには、まず経営戦略と連動させることが大切です。

1.経営戦略と連動させる

新任管理職研修は、経営戦略の達成に向けて、どのような管理職を育成したいのかを考えて、計画することが重要です。新任管理職研修のあとに、職場での実践に確実に生かせる知識やスキルを習得し、組織全体の成長につながげる必要があります。

2.新任管理職の理想像を設定しておく

新任管理職研修の前に、経営戦略を達成するにはどのような考え方やスキルを持つ管理職が必要なのか、管理職の理想像を設定しておくことが重要です。

 

新任管理職の理想像と現状のギャップを把握し「どのような課題があるのか」「課題を解決するためにどのような研修をすればよいのか」など目的を明確化する必要があります。

3.研修の目的をしっかり共有しておく

研修の冒頭で、研修の目的を明確にすることが重要です。研修をしても、受講者が何を身につける研修だったのかわからないまま終わってしまいかねません。

 

どのような課題があり、何を解決するための研修なのか、目的を受講者にしっかりと共有することで、意義を理解したうえで臨んでもらえるようになります。

4.新任管理職の個人のスキルやニーズに合わせた研修をする

新任管理職への昇格など役割が大きく変わるときには、人事部門が主体となって実施する階層別研修を設ける企業は多いです。新任管理職自身に今何が求められているのかを考えさせ、そのスキルアップに必要となる研修を選択させ、ニーズに合わせた研修に参加させることも大切です。社内の研修で補えないときには社外の研修への参加も必要になります。

 

例えば、部下に適切な目標を設定し、部下が納得するような形で目標に落とし込むスキルの向上が必要なときは、業務マネジメント(目標管理)研修への参加が必要です。

5.インプットとアウトプットの場を設ける

 新任管理職研修などの研修の際には、受講者に研修内容を理解してもらうだけでは研修終了後の成長は期待できません。受講者に研修内容を自分自身の職場の状況と照らし合わせての新たに気づきを得てもらう必要があります。そして、受講者に、その気づきを自分自身の職場で実践しアウトプットしてもらう研修が、受講者の成長には必要不可欠です。

 

とはいえ、実際に職場で実践しても、失敗する人はいます。失敗しても、次にどうすれば上手くいくのかを考え、次の機会に試すことを繰り返していけば、段々とインプットした内容を実践できるように成長します。定期的なフォローアップ研修も大切です。

6.異業種交流を行う

組織を越えたつながりを持ち、他の組織の人たちから新たな気付きを得て、幅広い視野をつけてもらうように、外部の研究会など、社外の勉強会への参加のバックアップも大切です。

 

日経ビジネススクールでは、他流試合をメインとして公開講座も提供しています。自社内だけでなく外部の人材と同じ講義を受けることでモチベーションの向上や意識変化にもつながります。
 

※関連ページ:日経の次世代リーダー育成

まとめ

新任管理職研修は、組織や社員の成長に欠かせません。とはいえ、目的によって受けるべき研修は異なります。管理職自身や管轄するチームにおける課題は何かを洗い出したうえで、必要な研修を選ぶのが効果的でしょう。

※関連記事:管理職研修向けのカリキュラム内容|研修実施時のポイントを紹介します!

未来を担うリーダー育成に、
日経の高品質なプログラムを

多忙なリーダーに、新しい気づきを与えられていますか?
貴社の課題に応じて、最適なプログラムをご提案します。

本記事に関連するサービス