CASE03 社会情勢や経済動向を俯瞰して捉え、
ビジネスへと活かす洞察力や
知力の成長をはかる重要な物差し

倉敷紡績株式会社 人事部 人材開発課 課長補佐
稲井 一郎氏
倉敷紡績株式会社

その長い変遷の中で基盤事業の繊維製造技術の応用から、化成品事業やエレクトロニクス事業、バイオメディカル、工作機械、食品事業など、コングロマリット企業へと変革してきた倉敷紡績。同グループでは2015年から、広い知識や情報をビジネスに活用するための自己啓発の一環として、グループ会社を含めた管理職前の階層と管理職への昇格者約40人が毎年「日経TEST」を受験する。

目的
  • 広い知識や情報をビジネスに活用するための自己啓発の一環
  • 管理職前の階層の調査
  • 管理職への昇格者の調査
課題
  • 労務構成として30代、40代のミドル層が減少傾向
  • 管理職選定において管理者としての見識や資質を定量的に評価する手段が必要

管理職昇格前後の
実力テストとして活用

活用内容

グループ会社を含めた管理職前の階層と管理職への昇格者(毎年40人弱)が「日経TEST」を受験する。人事考課等の評価には反映させないが、広い知識や情報をビジネスに活用するための自己啓発の一環として2015年から実施。

人事部 人材開発課 課長補佐 稲井 一郎氏

労働人口減少の環境下で
ビジネス総合力を磨くために

OJT以外のところでビジネススキルを
磨く機会を持ってもらうには
「日経TEST」は良いきっかけに
なると考えています。

「日経TEST」を導入した理由と、
当時の事業課題について教えてください。

2015年に「日経TEST」を導入したのですが、当時の管理職選定はアセスメントセンター®方式の研修が中心で、アセスメント用につくられたシミュレーションの演習を用いてマネジメント能力をアサッサーが測定することが主流でした。行動観察的な要素が中心でしたので、管理者としての見識や資質を定量的に評価する手段も必要だろうという議論があり、「日経TEST」とTOEIC®を採用することになりました。ただ、点数評価を人事考課には反映させず、あくまでビジネス洞察力や語学力を身に付けることの重要性に気付いてもらうことが大きな目的です。ですから管理職候補者は昇格前に一度、そして昇格後にもう一度受験することで、ビジネス知力の向上を実感してもらうことを主な狙いとしています。 導入当時の事業課題の1つは、労務構成として30代、40代のミドル層の数が減少傾向にあったことです。その世代は以前のような厳しい競争環境で揉まれる経験が少なく、労働人口が減少していく日本ではそれは今後も大きな課題です。そうした世代の社員に、OJT以外のところでビジネススキルを磨く機会を持ってもらうには「日経TEST」は良いきっかけになると考えています。

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ビジネス洞察力や知力を養い、
次世代リーダーの成長を支える

イノベーション創出には
広い視野と高い視座から
事業を見つめ直す習慣を
養ってもらうことが重要です。
「日経TEST」を管理職人材の研修に
組み入れた理由もそこにあります。

社員の皆さんは「日経TEST」を
どのように捉えていますか。
また、クラボウグループのいまの事業展開に
どのように役立つとお考えですか。

管理職への昇格要件ではないとはいえ、「日経TEST」を導入したことで社員たちの中には、普遍的な経済・経営知識や経営を取り巻く環境の変化、様々な企業の戦略、そうした事象の因果関係などを把握することの重要性は浸透していると感じています。当社グループでは、新入社員研修の時から始まり、様々な場面で「日ごろから新聞を読む習慣を身に付けなさい」ということを啓発しています。弊社の社風として伝統的に、社員は自分の事業の業界情報についてはとても熱心に勉強します。専門分野の知識は非常に豊富ですが、ただストイックな専門家になりがちで、イノベーション創出にはやはり社会の様々な出来事やグローバルな情勢など、広い視野と高い視座から事業を見つめ直す習慣を養ってもらうことが重要です。「日経TEST」を管理職人材の研修に組み入れた理由もそこにあります。多面的な見方や考え方ができている様な社員は高得点を取れており、会社としてはより多くの社員に、物事を深く考える力を備えてもらうことを期待しています。

管理職候補の次世代リーダーの育成で
どのような点を重視していますか。
そこで「日経TEST」は
どのような役割を果たしていますか。

現在、あらゆる環境下で活躍できる人材の育成に努めるため、次世代リーダー育成プログラムを実践しています。約半年の期間、グループ毎に様々な課題に取り組み、その成果を役員に発表するなど、「日経TEST」以外にも様々なプログラムを用意しています。役員たちの願いは「社会情勢や経済動向を俯瞰して捉え、それをビジネスへと活かす洞察力や知力を養う機会としたい」というもので、管理職前と管理職後の2回受験する「日経TEST」はその成長をはかる重要な物差しで、全体的に得点は上昇傾向です。
こうした結果を見ると「日経TEST」には、若い頃から定期的に受験することで自己研鑽のきっかけになったり、自身の成長をはかる教育手段にもなると個人的には感じています。現在は若手社員向けの研修に、日本経済新聞を教材にしてビジネス力を身につける「日経読み方講座」を実施し、ビジネス雑談力の向上や情報収集のコツを掴む習慣の定着を試みています。

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『面白いこと やってやろう。』社会の動きにビジネス創造のヒントがある

いつも新しいアイデアを追求
することや、社会をワクワクさせる、
あるいは未来の社会に役立つものを生み出す
スピリットを醸成させることが、
人事部門のいまの大きなテーマです。

最後に、クラボウグループの
人材育成の方針について教えてください。

いま、2024年度を目標年度とする3カ年の新中期経営計画「Progress’24」の2年目を展開していますが、「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」を基本方針とし、成長市場における注力事業へ経営資源を集中し、基盤事業においても様々なイノベーションを創出しながら収益力強化に取り組んでいこうとしています。基盤事業では、「モノ売り」だけでなく、ブランド力を活かした「コト売り」も展開するなど、既存の概念を打ち破る知力や知見が必要になります。テレビやインターネットの情報はどうしても偏りがちになりますが、新聞では幅広い情報が定点観測的に掲載されており、そこには社会や経済の動きからビジネスを創造するヒントがたくさんあります。 2018年の創立130周年にクラボウグループは、これからも新しい価値を生み出し、未来を変えていく企業を目指す決意を表すため、『面白いこと やってやろう。』をコンセプトとしたメッセージを社会に発信しました。既存の枠に捉われず、いつも新しいアイデアを追求することや、社会をワクワクさせる、あるいは未来の社会に役立つものを生み出すスピリットを醸成させることが、人事部門のいまの大きなテーマです。当社の行動基準は「新しいことに挑戦するベンチャー・スピリット」「新しい価値をクリエイトする才覚」「最後まで成し遂げる情熱とバイタリティ」「自由闊達なコミュニケーション」の4つで、まさに社員一人一人が「面白がり」ながら仕事に取り組み社会に新しい価値を提供することが社員たちの使命です。人事部門は柔軟な働き方の仕組みやダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しながら、クラボウグループから様々なイノベーションが生まれるようバックアップしていきたいと考えています。

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  • 社名 倉敷紡績株式会社
  • 創立 1888年(明治21年)3月9日
  • 従業員数 グループ連結 4,189名
    (2023年3月31日現在)
  • URL https://www.kurabo.co.jp/
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