CASE05 客観的なスコアで
水準を把握
一人ひとりの知力が
ビジネスをつなぐ

株式会社JR東日本商事 代表取締役社長
井上 晋一氏
株式会社JR東日本商事

JR東日本グループの基幹商社として、鉄道の分岐器(ポイント)などの各種鉄道資材の調達・販売をはじめ、オフィス用品・最新のAIロボティクスなどのあらゆる間接材、Suicaのペンギンなどの鉄道グッズや地域産品の販売、保険代理店業など幅広い事業領域で成長を続けるJR東日本商事。最近では「Business Innovators 」を合言葉に、顧客課題の解決に資する新規事業開発に精力的に取り組んでいる。2022年から役員を含む全正規社員を対象に「日経TEST」を導入し、初年度は約350人が受験。

目的
  • TEST問題を通じて社会・経済状況に幅広く関心を持つことにより、
    その理解と知力向上につなげる
  • 個々の社員が世間一般的な基準で自身の経済知力のポジションを知ること
  • 職制に関係なく社員間での知的好奇心追求意識の向上
課題
  • 各部門でのOJTでは補えない総合的な知力の底上げ
  • 多岐にわたる仕入先や販売先のそれぞれの課題を発見するために
    必要な社会変化の察知力

社員が自身の
立ち位置を把握し、
さらなる上を目指す
仕組みへ

活用内容

役員を含むすべての正規社員を対象に2022年に導入。2年で延べ628人が受験。2年目より60歳以上の社員は希望者のみが受験。人事考課には反映せず、課題解決型人材の育成を目指すプログラムのなかで、社会・経済状況の理解を深めるツールとして「日経TEST」を軸に様々な施策を検討中。

代表取締役社長 井上 晋一氏

顧客の課題を発見し、
新たなソリューションを
提供し続けるために

新聞やニュースに触れ慣れていると自信
を持っていた
ベテラン社員や職制上位者が
自身の実力を知るチャンスになり、
また若い社員たちが高得点を取れば
大きな自信につながります。

「日経TEST」を導入する
きっかけについて教えてください。

お取引様で導入している企業があり、向上心や日々のモチベーションなど社員の意識の変化が見られたことから当社でも導入することを決めました。商社機能が中心となる業態で仕事の内容は多岐にわたる一方、従来の職場内訓練(OJT)を中心とした人材育成の体制では視野が狭くなりがちなことが課題だと感じていました。リベラル・アーツまではいかなくとも一般常識や社会の動向に常にアンテナを張る習慣を身に着ける必要がありました。我々のビジネス創出のヒントは常にメーカーやお客さま、そして社会が抱える課題の中にあります。
そうした顧客や社会の変化を常に把握しながら、ニーズにマッチしたソリューションの提案やイノベーション創出へつながる知力集団へ進化していくための人材育成を目指しています。OJTにはスキルの伝達などの大切な役割がありますが、上司が過去の成功体験だけで指導しようとすれば、部下はどうしてもその範囲でしか指導を受けることができません。
そこで「日経TEST」の導入により、まず幅広い知的好奇心を上司、部下ともに持ってもらうこと、次に客観的なスコアで、個々の社員が自分自身の経済知力がどれくらいなのかを把握し、それを向上することによりOJTを含む人材育成の質を高めることが重要だと考えました。
新聞やニュースに触れ慣れていると自信を持っていたベテラン社員や職制上位者が自身の実力を知るチャンスになり、また若い社員たちが高得点を取れば大きな自信につながります。まだ2年の実施ですが、社内ミーティングや雑談時の話題などに耳を傾けていると、社員の知的好奇心は確実に高まり、学びに対するモチベーションも高まっていると実感しています。

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メーカーとお客さまを
高い視座と広い知識でつなぐ

いまは働き方が大きく変化する中、
意識の共有やスキルの向上が
難しくなっていますが、
「日経TEST」はそうした環境下でも
意識の変化を促すことができ、
知力向上を
促す仕組みだと評価しています。

人材育成の方針と事業が抱える課題など
についてお考えをお聞かせください。

まず、当社のミッションは、お客さまの課題を解決するソリューションを創造し、提供することです。それを果たすための第一歩はお客さまの課題を把握することですが、変化の激しい今の時代はそれが掴みにくい状況です。先ほども申し上げた通り、扱い商品の分野も商材も非常に多いため、業務が細分化してしまうことも大きな問題点だと感じています。他の分野のことが把握できなかったり、同じように様々な商材を取扱うお客さまが抱える課題を大きな視点で捉えにくかったりします。例えば、お客さまからお困りごとや悩みを聞いたとします。その直接的な問題点よりももっと大きな課題を解決する必要があったり、まだ気付かない別の要因が影響している可能性もあります。多彩な取引メーカーの中にそれを解決できる商材やサービスがあるかもしれません。テクノロジーがものすごいスピードで社会を変えていくなか、そうした両者をつなぐために一人ひとりの社員の情報感度を上げることが当社の成長の要となります。
メーカーもお客さまも、そしてエンドユーザーや社会が気付いていない課題を発見し、一歩先を照らすようなソリューションを提案できる能力を備えてもらうことが、社員に期待する人材育成プログラムの目指すゴールです。特に働き方が大きく変化している現在、そうした意識の共有やスキルの向上への取り組みが課題ですが、「日経TEST」を導入することにより、個々の社員の意識の変化を促すことができ、スキル向上の一助となると評価しています。

「日経TEST」の実施により社員の皆さんには
どのような変化が現れましたか。

当社のような商社には人の力が必要不可欠だと考えています。お客さまに価値の高いソリューションを提供するには、お客さま自身が抱える課題を社員一人ひとりがきちんと理解することが何より大切です。そのためには社員一人ひとりがお客さまの本当の課題を発見する力や、当社が取扱う商品の品質や機能を深く理解する知識を持つことが必要です。総合的な知力を底上げすることが「日経TEST」に期待することですが、社員もそうした狙いは良く理解してくれているようで、2年目のスコアは約7割の人が大きく飛躍しました。様々な部署から「日頃の会話の話題が幅広くなった」「取引先とのビジネストークの内容が深いものになっている」という声を聞いており、個人の努力が継続的に行われているのだと感じています。何より、同業他社とのスコア比較などから、自身のポジションが明確になったことが大きな刺激になり、日々の努力を続けるモチベーションになっているようです。社会人になってから、業務に直接関係のない勉強を日々続けることは負担もあると思いますが、スコアの伸びた社員には「よく頑張った」とメッセージを伝えています。若手だけでなく、役員グループの平均点も100点ほどアップしているので、社内全体の意識改革が実現できていると言えます。

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顧客視点とネットワーク力で、
いままで以上の信頼関係を築く

「日経TEST」を軸に据え、
日経が提供する様々な学びのツールと
組み合わせながら、
社員が楽しく成長していけるような
取り組みが必要だと思います。

最後に、人材育成の展望と将来の人材像
についてお考えをお聞かせください。

「日経TEST」についてはこの2年で「刺激とモチベーション」という当初の狙いは達成できましたが、同じことの繰り返しでは刺激もモチベーションも維持できません。今後は「日経TEST」を軸に据え、日経が提供する様々な学びのツールと組み合わせながら、社員が楽しみながら成長していけるような取り組みが必要だと思います。社会人に必要不可欠な論理思考力を鍛える科目をはじめ様々なセミナーを用意し、学びの環境をさらに整備していく予定です。
当社は一人ひとりの社員が、今まで以上に顧客から信頼される存在になることで成長を続けられるはずです。メーカーやお客さまについて誰よりも理解し、社会の変化もいち早く察知することが重要です。これまでのOJTと情報力・知力の両輪を磨いて価値あるソリューションを提供し続けていきたいと考えています。やはり商社の強みは社内外のネットワークで、ネットワークをつくるのは人の力です。社員一人ひとりが、JR東日本商事だからこそ実現できるサービスや商品を社会に提供し続け、皆様から愛され「かけがえのない会社」とご評価いただける存在になることを目指していきたいと考えています。

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