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ダイバーシティーを国際競争を勝ち抜く切り札に・日産志賀氏

 世界の注目が新興国市場として勃興する東南アジア諸国連合(ASEAN)に集まっている。日本企業の現地進出が進むなか、グローバルとリージョナル、両方の視点を併せ持つ人材開発が急務となっている。こうした状況に対応して日本経済新聞社は今秋、アジア有数のビジネススクールであるタイ国立チュラロンコン大学サシン経営管理大学院と協力し、「日経ビジネススクール アジア特別講座」をタイ・バンコクで開く。これに先立ち6月、現地で「日タイ人材育成フォーラム」を開催。「戦略的“アジア次世代ビジネスリーダー”育成に向けて」をテーマにした講演と討論には、日系企業関係者など約300人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

日産自動車の志賀俊之副会長 Photo : ArayZ Anirut Adumm 日産自動車の志賀俊之副会長 Photo : ArayZ Anirut Adumm

 基調講演では、日産自動車の志賀俊之副会長が登壇し、ダイバーシティー(多様性)に富んだ人材の育成と登用の重要性について訴えた。

 志賀氏は「今や日本の製品は日本市場でしか売れず、世界市場から置き去りとなってしまっている」と指摘。「日本目線で開発したものを世界市場に輸出して売っている『国際企業』と、対世界のコンセプトで開発したものを世界で売っている『グローバル企業』は別物で、その差は極めて大きい」と強調した。さらに、「真のグローバル企業とは、消費者が企業の国籍を知らない、むしろ自国の企業だと思い込むほど現地化できている」と説き、具体例として、日用品世界大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や食品世界最大手のネスレ(スイス)、日用品・食品世界大手の英蘭ユニリーバをあげた。

■多様性のある組織は本当に競争力があるのか?

 さらに志賀氏は、企業の国際競争をオリンピックやワールドカップ(W杯)に例え、「ホームで行う国際戦とは極めて異なる」と解説。モノカルチャー(単一国籍)なメンバーで構成されたチームと、マルチナショナル・マルチカルチャー(多国籍)なメンバーによるチームを比較すると「平均点を狙うなら前者でよいが、ハイスコアをたたき出す可能性があるのは後者だ」と説明した。また、「日産もトヨタ自動車やホンダといった日本企業とだけ競争するなら、均質的な組織でもよいが、独フォルクスワーゲンや韓国・現代自動車(ヒュンダイ)など海外のライバルや、米アップルや米グーグルといった自動車以外のグローバル企業との競争に打ち勝つには、多様な文化や意見を受け入れる体制が必要だ」との見方を示した。

Photo : ArayZ Anirut Adumm Photo : ArayZ Anirut Adumm

 志賀氏は「文化的背景が均質な人で構成されたモノカルチャーな組織は、意思疎通が円滑で失敗がないが、イノベーションも起こらない」と語り、「多様な人で構成された組織は失敗するかもしれないが、国際競争に必要なイノベーションが起こる可能性がある。多様性とは、異なる文化や意見、信じられないようなアイデアすらも受け入れ、尊重することであり、そこで必要なのは『エンパシー(共感)』であり、『シンパシー(同感)』ではない」と述べた。その理由については、「お互いの存在が尊重され、個人の能力が最大限に発揮されることで『シナジー(相乗効果)』が働くから、多様性のある組織が成功する」と説明した。さらに、「自分のアイデアを相手に理解してもらうためには、アイデアを視覚化し、要点を明確にする必要がある。このプロセスが常識を打ち破り、イノベーションを生む」との考えを強調した。

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