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日米で真逆のガバナンス改革~株主価値経営のねじれ問題とは?

米国の経営者は強いリーダーシップゆえ暴走も

 実は、特に米国におけるコーポレートガバナンス改革は、このPrincipal‐Agent問題をいかに抑制するべきか、という問題意識で取り組まれてきた経緯があるのだ。つまり、米国では経営者というのは、強いリーダーシップを発揮するのは良いが、必ずしも私利私欲とは言わないまでも、放っておくと権力者として暴走するものである、という根本的な不信感が存在したのである。

 古くは、1960年代に米国では派手なM&Aで企業を多角化させていくコングロマリット経営というのが流行した。だが、結果として多くのこうした買収が企業を巨大化させただけで業績は悪化したために、コングロマリット化は経営者がエゴや虚栄心を満足させているだけで、実際には資本の無駄使いにより株主の利益を破壊している、という大きな経営者批判に結び付くことになった。よって、このような経営の暴走を防ぐために、経営者に対する監視監督機能の強化が追求されるようになった経緯がある。

 もっと最近の事件では、経営者による不正経理問題が発覚して、経営破たんをしたエンロン事件が記憶に新しいであろう。この事件は2001年に発覚したものだが、不正経理によって株価を操作した挙句に経営トップ2名は自身も保有株を売りぬいて利益を得ていた、という極めて悪質なものであった。これこそ、まさしく懸念されていた経営者の私利私欲の追求であり、この事件を受けて米国では抜本的なコーポレートガバナンス強化の必要性が叫ばれることとなったのだ。

 この結果、政治主導で会計・監査・情報公開などのガバナンスの関連の一連の制度強化がなされて、有名なSOX法(Sarvanes-Oxley Act:上場企業会計改革および投資家保護法)もこの時に制定されたのであった。このSOX法を参考にして、わが国でも日本版SOX法なるものが導入されて、特に企業の内部統制が強化されたのは、ご存知の通りである。なお、企業不正とガバナンスの関係性については、別途この問題だけを掘り下げて考えてみることにしたい。

>> ベクトルが真逆な日米のガバナンス改革

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