それが、最近はどうなっているでしょうか。図表3の左側はアップルの2017年9月期、右側がIBMの2016年12月期です。今やアップルはIBMに比べて売上高も総資産も3倍規模の会社になっているのです。図表2に示した2011年のアップルとIBMは、貸借対照表の右側を除けば、ほぼ同じような形をしています。それが2017年にはアップルだけが大躍進しています。貸借対照表も損益計算書もかなり大きくなっています。売上高(Net sales)が上がっただけでなく利益率も上がっています。
一般的に売上高と利益率は相反するものです。売上高を上げようと思えば利益率は下がり、利益率を上げようと思えば売上高は下がります。売上高も利益率も上がっているということは、安売りをする必要のない差別化された超人気商品が市場にもたらされているということです。もちろんiPhoneのことです。そういった市場の現実が財務諸表に表れているわけです。
図表3 アップルとIBMの同業他社比較②(直近)
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IBMの貸借対照表の右側を説明しておきましょう。莫大なプラスの利益剰余金(Retained earnings)があるのに「資本金等(Capital etc.)」が巨額のマイナスになっています。この図で「資本金等(Capital etc.)」というのは、純資産(Stockholders’ equity)の中の利益剰余金(Retained earnings)以外の項目のことを意味しています。
IBMの貸借対照表を子細に見てみると、資本金(Common stock)自体はそう大きくありませんが、利益剰余金(Retained earnings)の額とほぼ同等の自己株式(Treasury stock)がマイナスの金額で計上されています。
ここで自己株式を取得すると貸借対照表がどのようになるか説明しておきましょう。自己株式の取得の説明をする前に、別の会社の株式を会社として購入した場合に貸借対照表がどうなるか説明します。