例えば、資本金100ドルで現金を100ドル持っているA社が、他社の株式を現金20ドルで購入したとします。この場合は、図表4の右図のように現金(Cash)が20ドル減って80ドルになり、その20ドルが有価証券(Marketable securities)に換わって会社の中にあると貸借対照表の左側に表記されます。
図表4 A社が他社の株式を買った場合
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次に、同じように資本金100ドルで現金を100ドル持っているA社が、自社株式20ドル分を現金で取得(Common stock repurchases)した場合はどうなるでしょうか。
図表5の右図の通りです。今回も現金は20ドル少なくなります。しかし、自己株式の取得の場合は、貸借対照表の左側に有価証券として記載されるのではなく、純資産の中に自己株式(Treasury stock)としてマイナスで記入されるのです。
図表5 A社が自社株式を取得した場合
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自己株式の取得は特殊な取引です。自社の株主は通常会社の外に居ます。会社の外の株主が会社のオーナーです。自己株式の取得とは、自分の会社の株を自分の会社が買っているということですから、例えていえばタコが自分の足に食いついているようなイメージです。なので、自己株式を取得するとその分だけ貸借対照表が小さくなっていくのです。