財務3表の5つの「つながり」を知ろう
実はこの4つの表には5つのつながりがあります。この5つのつながりを理解すれば会計の理解が深まります。では、一つひとつ説明していきましょう。
第①のつながりは、Income statementのNet incomeがBalance sheetのRetained earningsとつながっていることです。自社で稼ぎだしたNet incomeはBalance sheetのRetained earningsに積み上がっていきます。
第②のつながりは、Balance sheetのTotal assetsとTotal liabilities and equityが一致することです。これは詳しい説明は要りませんね。
第③のつながりは、Balance sheetのCashとCash flow statement の一番下のCash, end of the yearの一致です。なぜ一致するかは少し考えればすぐわかります。
Cash flow statement の一番下のCash, end of the yearは、期末時点においてその会社が持っている現金の残高です。一方、Balance sheetは期末時点における財産残高一覧表であり、その中のCashとは期末時点においてその会社が保有している資産の中で、現金の形で持っているものです。したがって、Balance sheetのCashとCash flow statement のCash, end of the yearが一致するのは当たり前のことなのです。
なお、現実の財務諸表を見るとBalance sheetとCash flow statementのCashのところは、Cash and cash equivalentと書いてあります。現金以外にも預金や3か月以内に現金になる予定の短期の運用資産はここに含まれます。本コラムでは紙面の制約から単にCashとしています。
また、Cash flow statement のCash, end of the yearは、このコラムではend of the yearを表わしません。このコラムは、一つひとつの取引が終わった時点で、仮に数字を入れてみると、その時点の財務3表の数字がどうなっているか、順に追いかけていく形になっています。なので、このコラムでは、end of the yearではなく、「ある取引が終わった時点」と読み換えてください。
第④のつながりは、Income statementのNet incomeとCash flow statement (Indirect method)のNet incomeです。Cash flow statement (Indirect method)は、Income statementのNet incomeを起点にして、現金の動きを間接的に計算するものです。ですから、ここはつながっているというより、Income statementのNet incomeとCash flow statement (Indirect method)のNet incomeに書き写していると言った方がよいかもしれません。
最後の第⑤のつながりは、2つのCash flow statement のNet cash from operatingが一致していることです。これは当然ですね。Cash flow statement の作り方が違うだけですから、2つのCash flow statement のNet cash from operatingは一致しなければなりません。
このフォーマットの4つの表を使ってこれからいろんな例題を説明していきます。この4つの表は、常に左上のIncome statementをスタートにして時計回りに見ていってください。