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「知的ライザップ」 この意味分かりますか 一橋大学大学院国際企業戦略研究科を「体験」(上)

 一橋大学大学院国際企業戦略研究科(一橋ICS)の金融戦略・経営財務コースは、ビジネススクールとしては、かなり異彩を放っている。ビジネススクールと言えば、ふつうは経営戦略からマーケティング、財務、組織運営にいたるまで経営全般を学ぶところというイメージだ。しかし、ここは文字通り、金融と財務に特化している。学ぶ側にとって、特化するメリットは何なのか。特化しすぎてデメリットはないのか。疑問を解くため、東京・大手町のビジネス街に近い同校のキャンパスを訪ねた。

「知的ライザップ」 この意味分かりますか 一橋大学大学院国際企業戦略研究科を「体験」(上)

 訪ねた日は「平成27年度・修士論文(優秀論文)発表会」の日。2年間の修士課程を修了し今春卒業する約40名の中から、論文成績の優秀な6名がその内容をお披露目するのが目的だ。一般にも公開している。

 卒論重視は、同コースの特徴でもある。いくら授業の成績が良くても、卒論の出来が悪いと留年することもある。それだけ卒論の比重が高いというわけだ。

卒論のタイトルを見て、目が点に

 発表会のスタートは午後6時半。金融戦略・経営財務コースの生徒は、ほぼ全員が仕事を持つ社会人なので、授業は平日の午後6時20分から。だから発表会もこんな遅い時間となのだ。発表会場は2部屋に分かれていた。時間の制約から、同時進行らしい。

 すべての発表を聞くことはできないので、どれを聞こうかとプログラムに目を落としたら、目が点になった。論文のタイトルの言葉が難解で、中身がさっぱりわからない。バリバリの人文科学系で数学音痴を自任する筆者は、思わず頭を抱えた。ちなみに、以下が論文のタイトルだ。

第1会場
 1.Intradayにおける日米主要Index価格発見に対するETFの影響に関する考察
 2.一般化線形混合モデルによる格付推移モデルのベイズ推定~日本の格付推移データに よる実証分析~
 3.ヴァインコピュラを用いた市場リスクと信用リスクの合算方法に関する研究

第2会場
 1.日米市場における分散リスクプレミアムの市場超過リターン予測可能性
 2.外国為替市場におけるモーメント・リスクプレミアムに関する考察
 3.海外進出が企業パフォーマンスに及ぼす影響:本邦製造業企業のアジア展開における実証分析

 結局、内容を理解するのはおそらく困難だろうとの想定の下、発表の雰囲気だけもつかもうと、両会場を行き来しながら、なるべく多くの発表を聞くことにした。

発表を聞いて、お手上げ

内容は難解 内容は難解

 第1会場の1番手は、東京証券取引所に勤務する石田滋宏さん。同コースの生徒は大半が30歳代だが、石田さんは同期最年長の51歳。発表後に話を聞いたら、入学した動機は、ネット証券相手に営業をしていて自分の知識不足を痛感したためという。

 パワーポイントで作成した資料を会場前方のスクリーンに映しながら、まず、論文の概要をこう説明した。

  • ETFの株式市場の価格発見への貢献度合いを測定する
  • その貢献度合いを、過去と現在、米国と日本で比較する
  • 過去と現在、米国と日本での違いの原因について考察する

 これは、何となくわかった。ETFとは確か、証券取引所で取引可能な投資信託のこと。つまり、ETFに関する話らしい。だが、想像を働かせて何とか理解できたのは、ここまで。本論に入ると、予想通りではあったが、何が何だか、もう…。

 例えば、パワーポイントの説明の中に、「情報シェアの計測」というページがあり、こんなことが書いてあった。

 ◆情報シェアとは何か?

  • VECM(vector error correction model: ベクトル誤差修正モデル)の攪乱項内のVECMを構成する各アセットの分散の比率
  • 価格変動に対する貢献度合いを攪乱項における各アセットの分散比率で見ている

 ◆VECM:Hasbrouck(2003)モデルからの情報シェアの導出

  • S&P500の価格への影響を与える先物と現物の3種のアセットを以下の通りVECMに当てはめている。
  • ΔPt=B1ΔPt-1+B2ΔPt-2+B3ΔPt-3+…(以下、難しいので省略)

 その後も、Σ(シグマ)や見たこともない記号を使った数式や、よくわからない表やグラフが出てきて、筆者の頭の中は早々と思考停止モードに切り替わった。

 ほかの発表も聞いたが、やはり同様で、早々に降参した。

 実は、筆者は数か月ほど前、同じ一橋ICSの国際経営戦略コースに、取材で、1日体験入学したことがある。すべて英語での授業だったが、そっちの方が、よほど理解できた。金融戦略・経営財務コースは、日本語なのに、大げさに言えば、まるで知らない外国語を聞いているかのような感覚。なるほど、これが専門に特化するということかと、何となく納得した。

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