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知っておきたい タイでよくある契約の落とし穴

日経ビジネススクールアジア特別講座 NBSセッション

 事業を展開する際に「契約」は付き物だ。しかし、タイにおける契約のルールや概念、しきたりは日本のそれとは必ずしも一致しない。JBL Mekong法律事務所タイ法人代表パートナーの松本久美弁護士は「契約書が万全でないために、トラブルに巻き込まれる日系企業は少なくない」と警鐘を鳴らす。日本経済新聞社がタイ・バンコクで9月に開いた「日経ビジネススクールアジア特別講座 NBSセッション」から、松本弁護士の講座「『4時間で分かる!』タイの契約の注意ポイントと紛争解決」をもとに、契約上の陥りやすい罠(わな)や契約違反などの解決方法を学ぶ。

松本久美氏(まつもと・くみ) 弁護士(日本法)、JBL Mekong法律事務所タイ法人代表パートナー

知っておきたい タイでよくある契約の落とし穴
2008年慶応義塾大学法科大学院修了、10年弁護士登録。12年~14年慶大大学院助教(会社法)。東京の法律事務所での弁護士活動を経て、14年JBL Mekongグループパートナー弁護士。日系企業のタイ進出戦略の策定や法務支援、進出後の契約、労務、M&A、訴訟などの法律問題をサポート。また、タイ仲裁センター(THAC)の日本人初の調停員として、紛争解決にも力を入れている。

■契約書はコミュニケーションツール

知っておきたい タイでよくある契約の落とし穴

 「契約書を作ると相手との関係が悪化する気がする」と心配される方がいらっしゃいますが、これはむしろ逆で、契約書を作ることで信頼関係が得られると考えるべきです。

 契約書は、相手が将来「そんなことは知らない」「最初はそんなことも言ったかもしれないが撤回したはずだ」などと主張した場合に、「いえ、契約書がありますから」と言って紛争の発生を予防するのに有効なツールであり、紛争が発生してしまった際も、感情的にならず、早期解決するために大変重要なものです。日本では、口約束でも原則有効に契約が成立しますが、タイでは契約書がないと無効とされるケースが比較的多く、なるべく何でも書面を交わすことが推奨されます。

 契約に必要な情報が漏れなく記載されていれば、見積書や注文書・注文請け書を契約書として利用することも可能ですが、通常は記載が不十分です。契約に潜む紛争リスクはケースごとに異なり、紛争時に効果を発揮できなくては、契約書の存在意義がなくなってしまいます。

 契約相手のタイの会社が用意した書式の契約書を利用する場合は、内容が相手方に有利になってないか、締結前に利害関係のチェックを慎重に行ってください。契約書の作成時、サンプルやフォーマットを利用する場合も、個々のケースに則した内容に修正すること、サンプルに違法な条項が含まれていないかをしっかりと確認する必要があります。

 また、契約書に使用する言語は、基本的に契約当事者双方が理解できる言語であれば何語でも構いませんが、タイ官公庁に提出する必要がある場合はタイ語が求められるほか、裁判の証拠として提出する場合もタイ語への翻訳が求められます。

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