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「フィンテック」もイノベーション 一橋大学大学院国際企業戦略研究科を「体験」(下)

 金融と財務に特化した異色のビジネススクール、一橋大学大学院国際企業戦略研究科(一橋ICS)金融戦略・経営財務コース。金融、財務のプロを目指すビジネスパーソンに学校はどう応えようとしているのか。コースディレクターを務める伊藤彰敏教授に聞いた。

――金融戦略・経営財務コースの特徴、強みは何でしょうか。

伊藤彰敏教授 伊藤彰敏教授

 伊藤教授 特徴はカリキュラムがファイナンスに特化していることです。特化というと、狭くとらえる人もいるが、ファイナンスはあくまで入口に過ぎません。ファイナンスを通じて企業経営を見たり、金融機関の経営を見たり、資産運用を見たりと、いったん入口を過ぎれば、中は非常に広い。言い換えれば、ファイナンスという非常に応用範囲の広い経営ツールを、ここで学ぶ人に提供しているのです。

 ただ、せっかく勉強して身に付けたツールが、他の人が持っているものと同じというのでは、意味がない。だから、ファイナンスに関して優秀な教授陣を集め、ファイナンスの最先端の知識を提供することを、一番の強みにしているわけです。

 我々はマーケティングを教えることはできませんが、ファイナンスの分析ツールをどうマーケティングに応用するかといったことは、教えることができます。ビッグデータがまさにそうです。膨大なデータをどう分析し、そこから何をビジネスに役立つ情報として引き出すか。そのための分析ツールを提供することができるのです。

――修士論文を書かせる狙いは何ですか。

 伊藤教授 何か新しいことを見つける。これが修士論文の目的です。株式運用を例にとれば、株は普通にやっていたら儲からない。でも、ちょっとした規則性を見つけ、その規則性にうまく乗っかれば、非常に利益を上げることができる。そういった規則性やパターンを見つけなさいという意味です。見つけるためにはいろいろな手法が必要なので、それをここで勉強するわけです。

「フィンテック」もイノベーション 一橋大学大学院国際企業戦略研究科を「体験」(下)

 あるいは、今日の論文発表の中にもM&A(企業の合併・買収)の話が出てきましたが、M&Aをして海外進出する場合、どんなところに注意しなければいけないのか、初めての企業は分からない。でも過去のデータを分析すれば、こういう会社を買ったら失敗するとか、こういう会社を買ったら成功するとか、実はパターンがある。それを見つけなさいと指導しています。

 修士論文の中には斬新なアイデアも結構あるので、実は企業からも割と注目されています。論文発表会を公開しているのも、より多くの企業に見てもらえるようにするためです。

――課題は何でしょうか。

 伊藤教授 世の中のニーズは常に変わるので、新しいニーズに常に対応していくことが、ビジネススクールとしては大切だと思っています。教える内容の基礎のところは変わりませんが、応用分野はニーズに合わせて変えていかなくてはいけない。そこのところは、常にアンテナを張って敏感であるよう気を付けています。

 最近のニーズは金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」ですね。新年度から「フィンテックとイノベーション」という授業を開講します。社会の新たなニーズにどこよりも早く対応することが大切。他のビジネススクールはもちろん、金融機関や企業よりも早く対応することを重視しています。

(聞き手はライター、猪瀬 聖)

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