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白熱MBA講義

ホームランを打てなくなったソニーが打つべき次の一手

早稲田大学ビジネススクール今村英明客員教授の「無常経営」~企業と経営者の進化論(3)

無常な生物システムとしての企業と経営者

 この連載は、企業や経営者を栄枯盛衰しかつ流転する無常な生物システムと仮定し、「ティンバーゲンの4つのなぜ」をツールとして、企業や経営者の進化を考える演習である。題材は、最近の日経ビジネスオンライン(NBO)や日経ビジネス(NB)の記事などである。「ティンバーゲンの4つのなぜ」とは、オランダの動物行動学者でノーベル賞受賞者のニコ・ティンバーゲンが考えた「生物の行動を本当に理解するために解明すべき4つの異なる『なぜ』」のことである。それは、次の4つの問いである。

(1)至近要因:その行動が引き起こされている直接の要因は何か?
(2)究極要因:その行動はどんな機能があるから進化したのか?
(3)系統進化要因:その行動は、その動物の進化の過程で、その祖先型からどのような道筋をたどって出現してきたのか。
(4)発達要因:その行動は動物の個体の一生の中で、どのような発達をたどって完成されるのか?

 4つの問いで、1つのビジネス事象を多面的に解析するスキルを学んでみよう。

 連載第3回目の演習テーマは、NBOの人気連載コラム「俺の愛したソニー」だ。

「俺の愛したソニー」ケース

 ソニーOBにインタビューし、コラムを執筆した宗像誠之氏(日経ビジネス記者)は、執筆意図を次のように語る。

 「日本の電機業界が揺れている。その中でも業績不振に苦しんでいたソニーは少しずつ回復し始めている。だが、その姿に往年の輝きはない。戦後間もなく発足し、日本経済をリードしてきたソニーは、バブル崩壊後に陥った負のスパイラルから抜け出せず、世界で圧倒的なブランド力を築いてきた面影はもはやない。ソニーはどうすべきだったのか。そしてこれから何をすべきなのか。戦後の経営を担ってきたOBたちが、ソニーへの懺悔と愛を語る」

 ソニーは1946年に東京通信工業㈱として創業、今年70周年を迎えた。宗像氏のいう「往年の輝き」とは、ソニーがトランジスタ・ラジオ、ウォークマン、CDプレーヤーなどの世界的ヒット商品(以下「ホームラン」と呼ぶ)を連発した1960~1980年代を指すようである。ソニーは、元々通信や家電から出発しているが、今や多角化したコングロマリットだ。映画、音楽、ゲーム、金融事業などを抱える。しかもそれらの分野では、例えば、スパイダーマンやプレステなどのホームランも出している。したがって、「業績不振に苦しみ、輝きがない」というのは、ソニー全体ではなく、主に通信・家電などのエレクトロニクス・ハードウェア製品領域、いわゆる「エレキ」領域を指しているようだ。

 そこで、ここでは、「ソニーグループのエレキ領域で、ホームラン(世界的ヒット商品)が出ないという現象」を「4つのなぜ」で分析し、仮説を立ててみよう(図を参照)

隠匿・偽装などの欺き行動の「4つのなぜ」「俺の愛したソニー」の例 隠匿・偽装などの欺き行動の「4つのなぜ」「俺の愛したソニー」の例

>> 「ホームラン不発現象」の至近要因

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